日本人初の快挙!ジャイアンツのブルペン捕手だった植松泰良氏がコーチに昇格へ
【ジャイアンツが来季のコーチングスタッフを発表】
今シーズンMLB最多の107勝を挙げたジャイアンツが現地時間の11月9日、来シーズンのコーチングスタッフを発表し、同チーム(傘下マイナーリーグを含む)で14年にわたりブルペン捕手を務めていた植松泰良氏が、アシスタントコーチに任命された。
チームの発表によれば、今シーズンまでアシスタントコーチを務めていたマーク・ホールバーグ氏が来シーズンから三塁コーチを任されることになったため、空席となったアシスタントコーチに植松氏が任命されたもの。
ホールバーグ氏はジャイアンツのマイナーリーグで選手育成を担当していた後、メジャー昇格後も選手たちのサポートを続けており、植松氏も同様の役目を担うことになりそうだ。
これまで日本人がメジャーリーグでフルタイム(常勤)のコーチを務めたのは、百瀬喜代志氏(現レッドソックスのヘッドS&Cコーチ)や友岡和彦氏(ナショナルズの元ヘッドS&Cコーチ)らが存在するが、彼らはいわゆるコーチングスタッフからは分類されるメディカル部門の人たちだ。試合中もユニフォームを着用するコーチングスタッフに日本人が加わるのは、植松氏が日本人初めてとなる。
【高校球児がトレーナーを目指して米国留学】
すでにMLBファンの間では植松氏についてご存知の方も多いと思うが、とりあえず説明しておくと、千葉県出身の彼は元高校球児(西武台千葉高校)だった。
そして高校卒業と同時にトレーナーを目指し、米国留学を決意し単身渡米。カリフォルニア大サンタバーバラ校を経て南イリノイ大に進学し、無事トレーナーの資格を獲得することに成功した。
その後2006年にジャイアンツ傘下3Aフレズノ・グリズリーズでトレーナーのインターンとして採用されたことが、植松氏にとって大きな人生の転機となった。
【手助けしていたブルペン捕手で正式採用】
マイナーリーグでは十分なチームスタッフが揃っていないことから、チームから野球経験者である植松氏にブルペン捕手を依頼したところ、そつなくその役目を務めてしまった。そのため本職のトレーナーではなくブルペン捕手の技術が高く評価され、インターン終了後の2007年にブルペン捕手としてフレズノに正式採用されることになった。
2008年もフレズノでブルペン捕手を務めていたのだが、同シーズンに藪恵壹投手がジャイアンツに入団し、開幕当初は同じフレズノに在籍することになった。そしてシーズン途中で藪投手のメジャー昇格が決まったのを機に、通訳補助として植松氏もメジャーに昇格することになったのだ。
メジャーに昇格した後も植松氏の技術は評価され、2009年以降はジャイアンツでブルペン捕手として正式採用されると、監督やコーチが入れ替わりながらも今シーズンまでブルペン捕手にとどまらず打撃投手などチームの裏方を勤め上げてきた。
そうしたジャイアンツ一筋14年間の実績が評価され、晴れてコーチとして採用されることになったわけだ。
【マイナーリーグにいる日本人コーチたち】
植松氏のコーチ就任で、今後さらなる日本人コーチの誕生に期待がかかる。
現在も今シーズンはドジャース傘下ルーキーリーグでベンチコーチを務めていた石橋史匡氏、ツインズ傘下のルーキーリーグで監督を務めた三好貴士氏がおり、彼らが将来的にはメジャーに昇格する可能性もあるだろう。
とにかく植松氏のコーチ昇格は、長年MLBに携わってきた立場からも心から祝福したいニュースだ。