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なぜ生理前になるとイライラするの?知るだけで生きるのが少し楽になる女性ホルモンの話!

理学療法士/ケイシー理学療法士、骨盤底筋指導士、マタニティヨガインストラクター

前回はコメントありがとうございました。
嬉しすぎてスクショして何度も
眺めています(本気)
今後もよろしくお願いします。

今日は、知っていて絶対損はしない

生理前の不調の原因と対策」について

お伝えしていきます。

セクハラ!という言葉が往々にして飛び交う前は

漫画やドラマで、不機嫌な女性に対して

「生理前?」なんていう表現が時々見られていました。

これは、

生理前の女性は機嫌が悪い】という傾向を

揶揄した表現で、あまり気持ちの良い

言い回しではありませんね。

ですが確かに、生理前の女性はそれ以前と

比較すると不機嫌となってしまう理由が

あります。

それはなぜでしょうか。

女性の生理(=月経)とは、

エストロゲン」と「プロゲステロン」という

二つの女性ホルモンが働き

女性の身体を妊娠に向けて準備をする

ことによって生じます。

妊娠する予定がなくても毎月毎月

準備してくれて、生理が重い女性にとっては

気が重たくなる働きとも言えますね。

ですが、この「エストロゲン」「プロゲステロン」は

女性の身体を理解するうえでとっても大切な

ふたつなので今日ぜひ覚えてください!

女性の生理の仕組み

女性は、生物学的に常に妊娠に備える

身体の仕組みを持っています。

①まずピンクの線のエストロゲン
増えることで精子と出会う卵子を育て
排卵に備えます。

②排卵後、エストロゲンは減少し
次いで青い線のプロゲステロン増え
妊娠に向けた身体の準備をします。

③一定期間妊娠が成立しないと
プロゲステロンは減少し
受精卵を迎えるために準備していた
子宮内膜のベッドが剥がれ落ち
体外に出されます。これが
「月経=生理」です。

ではこの2つの女性ホルモンは、

どんな働きをしているのでしょうか。

まず、エストロゲン

エストロゲンは女性にとって最高の恩恵を

もたらしてくれるホルモンです。

主な働きは

  • 妊娠にむけて排卵の準備をする
  • 精神状態を安定させる
  • 骨や筋肉量を保つ
  • コレステロール値を下げる
  • 肌や髪の艶を保つ

これだけの仕事をこなしてくれている
バリバリのキャリアウーマン的な存在。
(ありがとうございます!)

もうひとつが、プロゲステロン

プロゲステロンは妊娠には必須ですが
予定がないときには女性をしんどくさせる
ホルモンです。

主な働きは

排卵後、基礎体温を上げて受精卵が
着床しやすいように女性の身体を準備をする

実はこの「妊娠に向けた準備」こそ

生理前の不調の原因なんです。

どういうことでしょうか。

【プロゲステロンが増える時期に

 女性の体に生じる変化】

①身体に水を溜め込む
それにより女性の身体は浮腫みやすくなり
身体は重くなります。

②基礎体温を上げる
人の身体は夜寝るときに体温が下がり
スムーズに入眠することができますが
生理前は体の体温が上がってしまい
入眠のしづらさや睡眠の浅さに
つながり、疲れやすくなったり
集中力が続かないことがあります。

③精神的な不安定さ

プロゲステロンが増えるとき
エストロゲンは低下します。
エストロゲンは、脳の幸せホルモンである
セロトニンを賦活する効果がありますが
プロゲステロンにはありません。
それにより、女性の精神状態は
生理前になると不安定になりやすくなり
イライラしたり涙もろくなったりします。

そのほかに、子宮内膜が厚くなっていく過程で
下腹部が重たく感じたり痛くなったり
することや、関節痛を感じるもあります。

これが生理前の不調の原因です。

人間にはそれぞれ個性があるように
生理前の症状にも個人差があります。

全然大丈夫!という人がいれば
体調が悪い…つらい…という人がいます。

それは、

運動不足や食生活、もちろんメンタルなど
個人の生き方に原因があるわけではありません。

個別性なんです。

この女性ホルモンについて
女性にも男性にも理解してほしいことは
「隣の人は自分と全然違う経験を
している人かもしれない」という
想像力が必要だということ。

「なにをしたから楽だったらしい」
「こういうことしたら良かったよ」と

経験や人からの話から考えるのではなく

今、目の前にいる人が

つらそうか、大丈夫そうか。

それをちゃんと見ること。

それが一番大切なことなのではないでしょうか。

この生理前の不調は、前向きにとらえれば

女性ホルモンがしっかり分泌されて起こる

正しい体の反応なので

「自分の体はちゃんと機能している」

というふうに考えれば

喜ばしいこととも言えます。

でも、

「不機嫌をまき散らす自分はつらい」

「体調的につらい」

「仕事に集中できない」

こんな状態でそんな風に考えることは

まず無理でしょう。

では、どうしたらよいのか?

それは

自分の体はどういう傾向があるか調べ

研究すること。

これに尽きると私は思います。

たとえば

「生理前、私はイライラして、
人に当たってしまうな。
仕事のミスも増えて家事もうまくできず
さらにイライラしてしまう。」

という傾向があったとしたら、そのとき

自分の体はどうしてあげたら少しでも

楽になるかを考え行動してみる。

昼に少し寝てみたらどうかな。

ストレッチはどうだろう。

あたたかい飲み物を飲むと
冷静になれるかな。

頑張らず冷凍食品や
外食に潔く頼ろうかな。

などなど。自分と向き合ってみて

コントロールできる術はないか

考えるんです。

そして、パートナーがいる人は

その傾向を伝えること。

「生理前、いらいらしてしまうことが
多いかもしれない。できるだけ仕事を
コントロールして自分でも対処するけど、
コントロールできない部分もあると
思うから、そのときは理解してほしい。」

人を頼らない強い女性はかっこいい。

弱音を吐かず誰かを支えたい。

それはとっても素敵な気持ちです。

見習いたいです。(笑)

でも、

なんでも自分でできることが

素晴らしいのではなく

自分が壊れないように

環境を整えることも

大切な能力だと思うんです。

「生理前の不調の対処」

なんて情報はネットに

たくさんありますが、

「私」という情報は

どこにも載っていません。

なので、ネットの情報は参考程度にして、

自分のことはまず

自分で知ろうと行動すること。

そして、それを大切な人に

分かってもらえるよう

態度ではなく言葉で伝えていくこと。

それが自分やパートナーと

上手にやっていく一番の近道なんじゃないかな

と思っています。

その不調は、自分のせいではありませんが

間違いなくそれは自分の一部で、

これから先も付き合っていくもの。

「わかってよ!」とイライラしている

自分自身がよくわかっていないのでは

不毛な時間になってしまいますよね。

もちろん、生理日は前後するため

いつが生理前か予測することも難しいため

完全なコントロールは無理です。

「できるだけ自分で

なんとかできる術を考えて

うまくいったらラッキー」

程度に考えてみてください。

どうしても症状がつらいときは

産婦人科に相談したりお薬に頼る

ことも必要となるかもしれません。

(私は就職を機に低用量ピルのお世話になり

だいぶ助けられました)

女性は、女性ホルモンの波を抱えた

生物です。それを知った今、

今ある色んな手を使って

あなたの明日が今日よりちょっぴり

明るく楽しい日になれるように

自分自身と向き合ってみてください。

きっと、なにもしない今日より

少し良い明日がやってきます。

そう信じています。

今日も

読んでくださってありがとうございました。

あなたがいてくれる今日が

私にとってとても幸せな日です。

ありがとうございます。

理学療法士ケイシーより

愛をこめて

理学療法士、骨盤底筋指導士、マタニティヨガインストラクター

病院で理学療法士をしているケイシーです。【理学療法士とは】Physical Therapist(PT)ともよばれます。主に体に障害を負った人をリハビリし日常に送り出したり、運動の指導、体のメンテナンスなどをする仕事です。ケイシーは現在、【妊娠中や産後の女性の体のケア】と【入院中の患者様のリハビリ】【予防医学】を専門としています。ここでは、病院で働いてるからこそ話せる小話や、心と体を健やかに保つことの大切さ、日常生活に役に立つ医学情報などについてなどざっくばらんにお話ししていきます。

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