ジョージ・クルーニー、カマラ・ハリス支持を表明。「口を出すなら金も出すべき」との声も
世界を揺るがしたジョー・バイデンの時期大統領選撤退表明からほぼ丸2日経つアメリカ時間23日、ジョージ・クルーニーが次の候補者として現副大統領カマラ・ハリスを支持する声明を出した。
「バイデン大統領は、真のリーダーシップを見せつけました。彼はまたもや民主主義を守ろうとしています。副大統領カマラ・ハリスの歴史的な挑戦をサポートするために、私たちはどんなことでも喜んでやります」というのが、その内容。この声明については、CNNが最初に報道した。
クルーニーがハリスを支持するのは、決して驚きではない。およそ2週間前に「New York Times」に寄稿した「I Love Joe Biden. But We Need a New Nominee(私はジョー・バイデンが大好きだ。しかし、私たちには新しい候補者が必要だ)」という見出しの意見記事でも、クルーニーは、バイデンに代わって民主党代表になりえる人として、ウェス・ムーア、グレッチェン・ウィットマー、ギャヴィン・ニューサムらと並び、ハリスの名前を挙げていたのだ。
バイデンの降板を望むハリウッドの民主党支持者の声はほかにもあったが、先月中旬にもロサンゼルスでの華やかな選挙資金集めイベントでホストを務めたクルーニーが、ソーシャルメディアではなく、有力紙で正直な意見を述べたインパクトは、非常に大きかった。それだけに、彼の反応は、むしろ遅かったと感じられる。
現地時間日曜日にバイデンが撤退を決めたとの報道が出ると、マーク・ハミル、ロブ・ライナー、スパイク・リー、ジョン・レジェンド、ジェイミー・リー・カーティス、アリッサ・ミラノなど多くのハリウッドセレブは、すぐさまソーシャルメディアにハリスを支持するメッセージを投稿した。翌月曜日には、バーブラ・ストライサンドも、「New York Times」を通じ、「私はバイデン大統領に感謝します。そしてカマラ・ハリスを心から支持します。彼女は出産するかどうかを自分で決める女性の権利を取り戻してくれ、バイデン/ハリス政権が成し遂げたことを継続してくれるでしょう」との声明を出している。
だが、クルーニーは、今になるまで何も言わなかったのだ。大きな声で望んだことがかなったのだから、バイデンに真っ先に感謝の言葉を贈るのかと思ったら、そうではなかったのである。ソーシャルメディアを使わないにしろ、もっと早くメッセージを伝えることはできたはずだった。ようやく出した声明がかなりシンプルであるだけに、余計にそう感じられる。なぜここまで時間がかかったのか。
「支持するなら一番意味のある形でやるべき」
11月の選挙を勝てないと懸念されたバイデンが自ら撤退を決め、ハリスが候補者になったことで、民主党支持者の団結は強まり、一気に活気が出ている。それは民主党支持者にとって喜ばしいことながら、事実上引きずり下ろされたバイデンを気の毒に思う人も少なくない。
現地時間月曜日、トーク番組「The View」の中で、出演者のアナ・ナヴァロは、「トップクラスのスポーツ選手がすべてを置いて夕陽の中に去っていくのを見ているよう。悲しいです。それに、彼(バイデン)はこの3週間、友達であるはずの人たちからしつこく迫られていました。そのことに腹が立ちます」と述べた。続いてナヴァロは、「彼をそんなふうに追い詰めた人たちは、(ハリスのキャンペーンに)大きな寄付をしてくれますよね。ジョージ・クルーニー、あなたのことですよ」と、名指しでクルーニーにプレッシャーをかけている。
ソーシャルメディアにも、「はい、次は小切手を送る番だよ」、「$how your $upport where it really count$(支持するなら一番意味のある形でやれ)」と、クルーニーに寄付をうながすコメントが目につく。「このクーデターを仕掛けた張本人なのに、カマラに大型の寄付をすることもしないのか」と、はっきりと批判するコメントもある。バイデンを引きずり下ろしたことを良く思っていないらしいある人は、「私は恨みを持ち続けるタイプではありません。ジョージ・クルーニーは私の許しなど求めていないのでしょうが、カマラ・ハリスがトランプに勝てるよう、2,800万ドルを寄付してくれることを望みます。ジョージ、よろしくお願いしますね」との投稿をした。
クルーニーが個人の懐から具体的にいくらバイデン/ハリス政権の選挙資金に寄付をしたのかは不明ながら、大統領選挙でいつも民主党候補者の近くに寄り添ってきた彼がいろいろな形で貢献していることは間違いない。前述した先月のロサンゼルスでのイベントでも、3,000万ドル近い寄付金が集まっている。そのイベントにはジュリア・ロバーツ、ジミー・キンメル、オバマ元大統領も出席したが、バイデンのキャンペーンは、クルーニーのスケジュールに合わせてそのイベントの日程を決めたとそうだ。それらの寄付金がそのままハリスのキャンペーンに行くのであれば、クルーニーとしてはもう十分やっているつもりかもしれないが、新たな声明の中でもハリスのサポートのためなら「どんなことでも喜んでやる」と言ったのだし、仕掛け人としてはもう一肌脱いてもらいたいところかもしれない。
ジェフリー・カッツェンバーグは沈黙したまま
ところで、次に発言が待たれる大物セレブに、ジェフリー・カッツェンバーグがいる。バイデンのキャンペーンのトップのひとりを務めたカッツェンバーグは、先月のトランプとバイデンのテレビ討論会の後、これまでバイデンに寄付をしてきた人たちから、「バイデンの健康状態について嘘を言ってきたのか」と責められてきた。その頃から彼は口をつぐんだままだ。しかしバイデンを信じる姿勢は変わらず、クルーニーが「New York Times」にバイデンの撤退を求める意見記事を書くと知った時も止めようとしたと言われる。影響力を持つ彼は、どんな形で沈黙を破るのだろうか。