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間も無くゴング!13戦全勝のリトアニア期待の星と”最終戦”に懸ける元世界王者

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Photo:SEAN MICHAEL HAM

 アマチュア時代から祖国、リトアニアで将来を嘱望されたエイマンタス・スタニオニス(26)。しかし、リオ五輪では2戦目で姿を消した。渡米し、プロデビューを果たしてからは、力強い倒し屋となった。現在の戦績は、13戦全勝9KO。

 今夜の相手は元WBAウエルター級王者のルイス・コラーゾ。39勝(20KO)8敗のサウスポーだ。コラーゾが同タイトルを獲得したのは2005年4月2日、1度防衛に成功するも、翌年5月13日に王座から転落した。上り坂の26歳に対し、40歳の元王者は意地を見せたいところだ。

 コラーゾは今夜を「ラストマッチとする」と公言してリングに上がる。

エイマンタス・スタニオニス Photo:SEAN MICHAEL HAM/PREMIER BOXING CHAMPIONS
エイマンタス・スタニオニス Photo:SEAN MICHAEL HAM/PREMIER BOXING CHAMPIONS

 試合2日前の記者会見で、スタニオニスは語った。

 「ミネアポリスでのファイトは2019年以来なんです。ファンにとても温かく迎えてもらいました。そんな地で、また戦えることが嬉しくてたまりません。皆さんのご期待に添えるような試合にしたいですね。素晴らしいファイターであるルイス・コラーゾとの一戦を組んでくれたPBC(プロモート会社)にも感謝しています。

 コラーゾは僕と同様、トップ選手との試合をいつも希望しますね。僕は、前回(4月10日)12ラウンドの厳しい戦いを経験したことが、大きな自信となりました。とはいえ、自分のコンディションは最悪だったんです。その反省を生かし、今回は100%の準備をしてきました。

 僕は勝ち続けなければならない。是が非でも、世界タイトルを獲得したいのです。まだ、リトアニアからプロの世界チャンプは誕生していませんから、自分が歴史を築きたいです。コラーゾ戦では、僕にトップレベルの選手と競い合える力があることを証明しますよ。

 コラーゾに勝利すればWBAランクも上がり、世界戦の実現まで、それほどの時間は要さないでしょう」

ルイス・コラーゾ  Photo:SEAN MICHAEL HAM/PREMIER BOXING CHAMPIONS
ルイス・コラーゾ  Photo:SEAN MICHAEL HAM/PREMIER BOXING CHAMPIONS

 ルイス・コラーゾも話した。

 「ゴングが待ち切れないよ。熱意と共にリングに上がり、ベストを尽くす。この試合が、俺にとって最後となるだろう。ボクシングにおいて"楽しむ"ということが難しくなってきた。全てを出し尽くして、己の足跡を残し、リングを去りたいね。

 40歳という年齢は特に気にしてはいない。ファイトも、ジムワークも継続しながら生活してきたからね。ずっと、そうしてきたように、今回の試合も言い訳なしで挑むよ。

 どちらが優秀なファイターか見比べてほしい。ゴングが鳴れば、全てが非常に速く展開するだろうね」

 彼らはどんな戦いを見せるか。勢いに乗るスタニオニスにも、最後に懸けるコラーゾの生き様にも、期待したい。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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