日本はどうかな? 国毎に大きく異なるニュースやゴシップの取得元
テレビはニュースにも強し
技術の進歩でインターネットをはじめ新しい情報取得源が登場し、また既存のメディアも進歩を遂げ、人がニュースを知る媒体も増え、ハードルは下がっていく。それではニュースを知るための手段として、どのような媒体・メディアがよく使われているだろうか。イギリスの情報通信省が2013年12月に発表した通信白書「International Communications Market Report 2013」から探りを入れていく。
次のグラフは主要国において、調査時点から過去一週間に、テレビ・ラジオ・紙媒体・オンラインのうち少なくともいずれか1つのメディアを介してニュースを見聞きした人を対象にしている。その人たちに「自分はこのメディアでニュースを見聞きすることが一番多い」対象を選んでもらった結果。
多数の国では「テレビ」を一番に挙げている。フランスやドイツでは他の3媒体を圧倒的に引き離している。他方イギリスやアメリカでも「テレビ」の回答率は高いが、「オンライン」がかなり競った状態。
「紙」(実質的には「新聞」)は意外、あるいは当然の結果として日本が最上位。ニュース取得者の20%は「新聞でニュースを見聞きすることがもっとも多い」と回答している。その他の国々はドイツが18%とやや高めで、大体1割前後に留まっている。そのドイツは「ラジオ」の値も高く、ニュースの取得構造が分散していることが分かる。
イタリア、日本、スペインの3か国は「テレビ」以上に「オンライン」の回答率が高い。特にスペインでは両メディア間に8%ポイントもの大きな差が出ているのが特徴的。同国は「テレビ」への回答率も一番低く、ニュース確認用のメディアとしてのテレビの有益性の低さが、少なからぬ人をネットに走らせているようだ。
ゴシップは多種多様
一般的なニュースでは無く、有名人の話や、ゴシップネタではどうだろうか。こちらは対象となるニュースを見聞きした限定では無く、調査対象母集団全体を対象にした結果。また対象媒体も多いため、上記グラフとは項目の仕切り方を変えている。
全体的には「テレビ」と「インターネット」が多め、「新聞・雑誌」がそれに続き、「他人からの口コミ」「ラジオ」の順。そして4割前後の人は「興味は無い」と答えている。
もっとも「テレビ」と「インターネット」との間には、国により大きな順位の違いがある。ドイツとスペインは「テレビ」を重要視、それ以外の国では「インターネット」を重視している。特にイギリスでは「インターネット」の利用率はテレビと比べて17%ポイントも高い。
ゴシップ系の話はイメージ的には「雑誌・新聞」が強そうだが、メインとして使う分には力不足のようで、各国とも値は低い。せいぜい1割が関の山で、日本は4%しかいない。
「他人から」という口コミ系の項目は1割前後。「ラジオ」よりは高いが、「新聞・雑誌」よりは低い。日本では3%と、「ラジオ」「新聞・雑誌」同様に諸外国中最も低い値を示している。さらに日本は「興味なし」の項目も最多回答数を示していることから、「芸能系、ゴシップ系の話にあまり興味は無く、ある人もテレビとネットに集中している」ことが分かる。
アメリカの大手調査機関Pew Research社による同国内調査などをかえりみると、アメリカではすでにニュース取得用媒体として「インターネット」が「テレビ」を追い抜いている感はある。しかし今調査に限れば「まだテレビが優勢」。もっともさらに差が縮まり、立場が逆転するのも時間の問題だろう。むしろフランスやドイツのような、テレビの圧倒的な優性感の国が結構存在しているのが驚き。そしてゴシップなどのエンタメ系では、すでに「インターネット」の優位性が果たされている。
グラフの形状を見る限り、今後は今まで以上に「テレビ」と「ネット」のせめぎ合いが続き、「ラジオ」と「新聞・雑誌」は脇に追いやられる雰囲気が強い。一方で日本におけるニュース入手における「新聞」のウエイトの高さのように、歴史的な背景やメディア事情から、引き続き一定の重要度を維持する事例も多々あることだろう。
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