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三浦マイルド、実はワイルド!?『マイルド+○○=ワイルド』の法則

中西正男芸能記者

12日に決勝戦が行われたピン芸人No.1決定戦「R-1ぐらんぷり2013」で、三浦マイルドが優勝した。

本命視されていた岸学、圧倒的爆発力を持つプラスマイナス岩橋らを退けてAブロックを突破。ファイナルバトルでも、審査員をうならせる完成度を誇るパントマイムものまね芸人・アンドーひであき、センス抜群のフリップ芸人・ヒューマン中村を寄せ付けず、審査員満場一致での完全優勝を果たした。

下馬評的には、伏兵の域を出なかったが、活動拠点にする関西の芸人仲間からは「今年はマイルドが行くかも…」という声も聞かれていた。

「今年決勝戦に残れなければ、芸人を引退する」と背水の陣で臨んだ今大会。

さらに、昨年までは「自分みたいなものが決勝に残れるわけがない…」とネガティブ思考だったのを「絶対に決勝に残る。そして、売れる!!」とポジティブ思考に切り替え、日々「決勝に行く」と公言してきた。

マイルドは吉本興業所属。「サバンナ」や「ブラックマヨネーズ」、「チュートリアル」らもメンバーとなっている、たむらけんじ率いる「TKF(たむらけんじファミリー)」の一員でもある。

公私ともに、たむらと行動をともにすることが多く、TKFの新年会や忘年会はもとより、日々の食事やたむらのプライベート旅行に帯同するほどの親密ぶりだ。

普段は先頭に立って何かをするタイプではなく、芸名のごとくマイルドな性格だが、そこにお酒が加わると、マイルドがワイルドに一変する。

酔うほどに目がすわり、トイレにおしっこをまき散らす、ところ構わず得意ギャグ『マイルドフラッシュ』を発射しまくる、髪型はともかく顔自体は高橋克典似という主張を繰り返す、先輩芸人に挑発的な態度をとるノリを始めるがオチまでは考えていない…などの“狼藉”を次々に働く。

そして、狼藉を重ねたマイルドを、最後はたむらがあの手この手で成敗し、その日一番の笑いが起こってお開きとなるのが、宴席の定番となっている。

ただ、「ホンマに面白かったなぁ」とたむらとマイルドのバトルを振り返る芸人仲間をよそに、ほとんどの場合、マイルド自身には前日の記憶がない。

芸として、ノリとして、バトルを展開しているのではなく、本気で酔っぱらい、崩れていくマイルドのリアルさが、たむらの成敗をより痛快にしているのだが、バトル翌日の本人は常に反省しきり。

そんな部分にも表れる“可愛げある、ちょうどいい狂気”を内包していることが、マイルドの面白さを形作っているとも言える。

近年は、テレビにも少しずつ出演するようになったものの、今も時給870円で百貨店の食品売り場でハムを試食提供するアルバイトを続けている。

決勝戦1本目のネタ「広島弁講座」の中で「買う気もないのに試食するヤツ、ぶちまわすぞ!!」というフレーズがあったが、あれは日々の生活から生まれた地に足のついた言葉。

そこに実(じつ)があるからこそ、たむらとのバトルよろしく、見るものに強烈な面白さを感じさせたのだろうし、これまでの道のりは決して無駄ではなかったとも言える。

ルックス、ネタ、声質、プライベート。どれもマイルドではないマイルドが、スターへの切符をゲットし、今後どんな歩みを見せるのか。本当の見どころはこれからだ。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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