お詫びと訂正:「ロシア経済は日本超え世界4位」は本当か?
=====お詫びと訂正=====
6月19日の筆者記事「「ロシア経済は日本超え世界4位」は本当か?」で、プーチン大統領のご発言のもととなったWorld Bank世界銀行のデータを示さずにIMFのデータにのみ基づいてファクトチェックを行い「以上のように、プーチン大統領が仰るようなロシア経済は日本経済を超え世界4位になったとのファクトは見当たりませんでした。」と結論付けたことはプーチン大統領のご発言に関するファクトチェックとはなっていないにも関わらず、一方的に「ファクトではない」と結論付けた形になり、関係者と読者の皆様には心よりお詫び申し上げます。
実際、World Bnak Databaseによれば、GDP, PPP (current international $)でみれば、ロシア経済は2021年に日本の経済規模を超えていることが確認できます。
したがいまして、World Bankのデータに基づけば、「以上のように、プーチン大統領が仰るようなロシア経済は日本経済を超え世界4位になったとのファクトは見当たりませんでした。」との筆者の見解はWorld Bankのデータに基づかず正確さと公平さにかけていました。
同じWolrd BankのデータによりGDP, PPP (constant 2021 international $)で日本とロシアを比較してみると、2021年にロシア経済が日本経済を上回り、翌年2022年にはまた日本がロシアを上回っていることも分かります。
結局、World Bankのデータでは、名目で見るか実質で見るかによってロシア経済と日本経済の立ち位置が変わってしまうことも確認できます。
以下の元の記事は、Wolrd Bankのデータだけではなく、IMFという別の国際機関のデータによるプーチン大統領のご発言に関する記事への補足とみて頂ければ幸いです。
====元の記事(なお、最後に訂正を踏まえた結論があります)====
ロシアのプーチン大統領肝いりの国際経済フォーラムが今月7日にロシア第2の都市サンクトペテルブルクで開かれ、その全体会合でプーチン氏は「ロシア経済は日本超え世界4位」になったと発言したそうです。
プーチン氏「ロシア経済は日本超え世界4位」 経済フォーラムで演説(朝日新聞 2024年6月7日)
ロシアのGDPは日本のGDPを購買力平価(Purchasing Power Parity、以下PPPと表記)で上回ったというのは本当でしょうか?
本記事では、国際通貨基金(International Monetary Fund、以下IMFと表記)が2024年4月に公表したWorld Economic Outlook Databaseに基づき、ファクトチェックしてみました。
その結果、プーチン大統領が指摘されるようなPPPで見た名目GDPはもとより、名目GDP(米国ドル)、一人当たり実質・名目GDP(米国ドル、PPP)のいずれで見ても(日本については2023年、ロシアについては2022までが実績値)、ロシア経済が日本経済を上回ったとの事実はありませんでした。
また、プーチン大統領の仰る「世界4位」については、2022年から2029年まで世界1位中国、2位アメリカ、3位インド、4位日本のランキングに変動はなく、ロシアについて見れば、実績のある2022年から2028年まで世界6位の経済規模であったものが、2029年には世界7位に転落することが分かります。したがって、ロシア経済は世界4位になったとの事実もありません。
以下の部分は謹んで取り下げさせていただき、下記の通り修正させて頂きます。
以上のように、プーチン大統領が仰るようなロシア経済は日本経済を超え世界4位になったとのファクトは見当たりませんでした。
以上のように、プーチン大統領が仰るようなロシア経済が日本経済を超え世界4位になったとのご発言は、World Bank DatabaseのGDP, PPP (current international $)で見ればファクトですが、同じデータベースのGDP, PPP (constant 2021 international $)や、別機関ではありますがIMFのデータで見れば、ロシア経済が日本経済を上回ったと結論付けるにはなお経過観察が必要であるともいえると思います。