「気絶、失禁する人が続出」金正恩、7人処刑の衝撃場面
今月6日の夜、北朝鮮から漁船に乗って2家族9人が脱北し、韓国に入国していたと、韓国メディアが報じている。
東亜日報は、2家族は夫婦とその子ども、両家の親戚の合わせて9人で、黄海南道(ファンヘナムド)の康翎(カンリョン)から木造船に乗って脱出。海上の軍事境界線と言われる北方限界線を超えて韓国側の領海に入り、救助された。一方、SBSテレビは人数を10人と報じている。
2つの家族は、韓国軍、国家情報院、統一省の合同尋問で、「韓国のテレビを密かに見て憧れを抱いていた」と述べた。出身地、居住地は明らかにされていないが、黄海南道はもちろん、首都・平壌周辺でも、韓国のテレビの受信が可能だと言われている。
彼らは日々悪化する経済難、食糧難と極端なコロナ対策による監視強化に耐えかね、脱北を決意。船の改造とルート選び、決行時期の見極めなど1カ月に及ぶ緻密な準備の末、脱北を敢行したという。
1年間に韓国に入国する脱北者の数は、2009年の2914人をピークに、減少傾向にある。2019年までは1000人台を維持してきたが、コロナ禍を契機に激減し、2020年は229人、2021年は63人、2022年は67人に留まっている。
激減の理由はひとえに、国境警備が強化されたことだ。金正恩政権は脱北を反逆行為とみなし、厳しく取り締まってきた。さらに2020年からは、新型コロナウイルスの流入を防ぐとして極端なゼロコロナ政策を進め、国境の統制をいっそう強めた。
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たとえば2020年8月、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の穏城(オンソン)郡で、複数の軍関係者が処刑された。
この地域では、国境の川を渡って中国へ脱北した地域住民が再び故郷に戻り、逮捕されていた。
この件について報告を受けた金正恩氏は激怒した。新型コロナの流入を防ぐために国境を徹底的に封鎖するよう厳命していたのに、それが守られていなかったからだ。
その結果、件の脱北者が越境した地点を受け持っていた国境警備隊の中隊長、政治指導員、責任保衛指導員、軍保衛部封鎖部長、軍機動巡察隊長、そして脱北者本人が所属する職場の党委員長と支配人の7人が処刑された。この情報を伝えた韓国紙・東亜日報のチュ・ソンハ記者は、処刑の場面を次のように描写している。
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「そして彼らの処刑場面を、当該地域の幹部たちに参観させた。どれほど残忍に処刑されたのか、参観者の中からは気絶する人、失禁する人が続出した。北朝鮮でよく行われる、数百発の銃弾を浴びせ、人間の原型すらとどめないやり方だったのだろう」
故意に防疫ルールを破ったわけではない軍人たちが、こうして無残に殺されたのだ。金正恩政権のゼロコロナ対策が、いかに非人道的なものだったかがわかる。
今回の脱北は、北朝鮮のゼロコロナ政策がいかに民心の離反を招き、国内に不穏な空気を醸成したかを知る上で、貴重な手掛かりを提供するかもしれない。