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アマチュアボクシングが最強コーチを招集 男女合わせて複数メダル獲得へ

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
写真提供 高尾啓介 

東京五輪開幕まであと一年。アマチュアボクシング界は、メダル獲得に向けての改革が進んでいる。

オリンピックに向けてウズベキスタンから、最強コーチを招集し強化を進めているようだ。

ウズベキスタンはアマチュアボクシング大国で、リオ五輪では金メダル3つを含む7つのメダルを獲得している。

東京オリンピックに向けて、日本ボクシング連盟の菊池浩吉副会長に、強化体制について話を聞いた。

旧体制から新体制への変化

ーーー東京オリンピック開幕まで後1年。以前の体制から変化はありますか?

菊池:大きく変わりました。強化委員会から意見が出てくるようになりましたし、色々な選択肢が出てきました。

以前はトップダウンでしたのでお決まりのコースしかできなかったのですが、今は多くの選択肢の中で、一番いい方法を選べる状態にあります。

ーーーー選手への対応にも変化はありますか?

菊池:今は「選手ファースト」で、とにかく選手の体調を考慮した日程で運営しています。その為に、直に選手と接して指導者の意見を尊重しています。

ーーーオリンピックに向けての強化体制についてはどうですか?

菊池:強化委員会は女子と男子で分かれています。より専門的に、スポーツ科学委員会を使ったトレーニング法や女性特有のことにも配慮しています。

総力を挙げて、強化を進めていく事ができていると思います。

ーーー今のところは皆さん予定通りこなせていますか?

菊池:ハプニングは起こりますが、こなせています。

ーーーオリンピックまでの具体的なスケジュールはどのようになりますか?

菊池:まず11月の全日本選手権が登竜門ですので、ここを勝ち上がった選手をオリンピックの大陸予選へ優先的に派遣することになります。なので、この試合に向けて選手強化をしているところです。

ーーー合宿に行くようなこともありますか?

菊池:積極的に行っています。男子は福島県に行きましたし、蔵王で高地トレーニングも行いました。

女子は北海道合宿を行っています。

最強コーチ招集へ

ーーーウズベキスタンからコーチを呼んでいると思うのですが、トップアマのコーチを呼んだことによる変化はありますか?

菊池:大きく変わりましたね。ウラジミール・シン(ウズベキスタン)コーチの力はとても大きいです。

ーーー具体的にはどういうところですか。

菊池:一番は影響力です。

例えば今、ロシアで他国と合同で合宿をしていますが、これは「日本の選手が勝つための合宿だ」ということをシンさんが公言しています。

他国の人も入っていますが、日本に合わせた練習をしてくれているそうです。

強引なやり方だとは思いますが、それを通せる人で、とても頼りになります。

ーーーかなり大きなバックアップになっているのですね。

菊池:はい。あの方の権威はアジア圏に限らず、世界中のいろいろな国に通用しています。

ーーーその方が来たきっかけは何かあったのですか?

菊池:前政権のときに専任コーチとして来てもらう予定だったのですが、半年ぐらい遅れました。

その間に政権交代してしまったので、最初はどんな人が来るのか不安でした。ですが、実際に現場に入るとその手腕を発揮してくれました。

国内の練習でも、そういう指導方針を持っている日本人はいません。

選手のマインドをガラッと変えた

ーーー具体的にどういう練習をされているのでしょうか?

菊池:追い込む練習をします。自分の限界を破るようなトレーニングをさせながら、調整の仕方など細かい指導をします。

体の使い方を上手に教えてくれています。

ーーー日本連盟にかかわってどれぐらいですか?

菊池:昨年12月ぐらいに来日したと思います。本当は昨年の4月に来ていただく予定だったのでかなり遅れましたが。

ーーー8ヵ月ぐらいたちましたね。

菊池:よく試合会場にいらっしゃいます。宮崎県で行われたインターハイにも蔵王から直接いらっしゃいましたし、関東大学リーグ戦にも毎週のようにいらしています。

男女ともに世界選手権に出場しますし、とても情熱的です。

ーーーテレビで拝見しましたが、かなり熱い方ですね。

菊池:熱いです。ときどき熱すぎると思うぐらいです。

ーーー技術的なところでもかなり教え方はうまいですか?

菊池:うまいです。

ーーー誰が一番その練習に合っていますか、伸びたと思う選手はいますか?

菊池:全体的に向上していると思います。誰というのはないですが。

前回の選考会を見ると女子の並木月海(自衛隊=2018年世界女子ボクシング選手権大会銅メダル)は精神的に変わったと思います。

ーーーでは、選手のマインドをガラッと変えて世界で戦えるように。

菊池:そうです。世界では通用しない一昔前とは、だいぶ変わりました。

ーーーぼくら世代は、そうですね。

菊池:例えば、三浦国宏選手(ロサンゼルス・ソウルオリンピック日本代表)は全日本選手権で何連覇もしていた時でさえ、海外では勝てませんでした。

しかし、今の日本人はそんなこと考えていないと思います。

現在ロシアで世界選手権が行われている。そこでメダル獲得となると、オリンピック出場に大きく繋がる。最強コーチのマインドを得て、生まれ変わった選手達の戦いが始まる。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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