今年の七夕は赤坂の人気店にて「御菓子司 塩野」さんの上生菓子で上品な甘さの練り切り餡と吉野羹を堪能
今年の七夕は猛暑ですね!と、ここ数年は毎年思っているような…少しでも涼を求め、七夕には冷たい素麺などのレシピがスーパーなどの店頭でも配布されておりました。
五節句のひとつである七夕には、和菓子屋さんでも見目麗しい和菓子、特に練り切りなどの上生菓子が続々と登場し、7日の夜を境に終了します。
創業1947年、赤坂の中でもややカジュアルな印象の赤坂通りからエスプラナード赤坂通りへ一本入った場所にて暖簾をはためかせる「御菓子司 塩野」さん。日本の四季にあわせこまめに入れ替わる美麗な上生菓子はお茶席や近隣の方々からも厚い信頼を受け、赤坂でも非常に人気の高い和菓子屋さんです。
今回は塩野さんの七夕の作品「糸巻(いとまき)」と「天の川」をご紹介。
なんとも可愛らしいパステルカラーのピンクとライム色に引き寄せられました。「糸巻」は機織りには欠かせない、織姫の仕事道具ですね。
小田巻というモンブランにも使用される器具で細く練り切り餡を押し出して飾るのですがこれがまた実に難しい。歪んでも途中でもちぎれてもいけませんから、高い技術を要するお菓子なのです。
柔らかでねっとりとしていながら、さらりとした甘さの練り切り餡を口の中で溶かしていく間に深呼吸。心地よい香りの後には、やや深みのあるこし餡との一体感を味わいます。
「天の川」は吉野羹製。吉野羹というのは、寒天に葛をあわせたお菓子。そのため、寒天だけよりもほんのり霞がかった色味が特徴です。雨の日にはカササギが橋を作らなくてはならない程大荒れの天の川ですが、普段はきっとこのように穏やかな姿なのでしょうね。
ほろり、ぷるん、という独特の弾力と素材が持つ旨味が際立つ吉野羹。中には川底の小石でしょうか、立派な大納言小豆が。水面に揺れる色とりどりの短冊に書かれた願い事を、しっかり見届けてくれているようです。
糸巻の意匠の上生菓子は比較的多くの和菓子屋さんがお作りになっている七夕の御菓子。いずれも鮮やかだったり可愛らしい配色なのですが、内側に摘まれているのはこし餡や羊羹、こし餡入り葛などどことなく深い色。(白餡や白小豆のお店もあります!)
銀河を象徴しているのかと思っていたのですが、ここ数年は織姫の「愛しい人に会えない不安で寂しい気持ち」という捉え方もできるのではないかと思いまして。
機織りの名手でもあった織姫は、日々神様の娘としてしっかり勤めを果たしていたのでしょう。(そうでなくては牽牛に会えませんからね)
しかし、織姫だって愛を誓った夫に会えず寂しい日も切ない日もあったはず。その思いを閉じ込めるように、機織りに精を出していたかと思うと…自業自得が招いた結果とはいえ、なんだか糸巻の意匠の和菓子がより一層愛おしく思えたような気がしました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<菓子司 塩野>
公式サイト(外部リンク)
東京都港区赤坂2-13-2
03-3582-1881
10時~18時(土曜・祝日は17時迄)
定休日 日曜