【秋田県大仙市】文化財をこっそり触る→バレる→怒られない...なぜでしょう?秋田県埋蔵文化財センター
埋蔵文化財の発掘調査と研究、記録の整理、出土遺物の保存処理と収蔵などを行う、秋田県埋蔵文化財センターにやってきました。ここには秋田県で発掘された出土品をはじめ、センターの向かいにある「払田柵跡」の出土品などが展示されています。
本展示で大切にしていることは「物語」。遺跡や遺物には、それらを残した当時の人々の物語、それらを発掘した職員たちの物語、そして、展示を見ている人たちの物語があります。あらゆる「物語」を意識して鑑賞する出土品には、見た目以上の深みが感じられます。
取材時には、秋田県埋蔵文化財センター 副主幹の吉川耕太郎さんから展示解説をしていただきました。縄文時代から現在に至るまで、秋田と関連付けた解説を受けることで、昔の秋田の暮らしが鮮明に見えてきます。一般の方でも展示解説を受けることができますが、事前予約が必要です。
企画展に展示されていた「ヒスイ石環」。1973年に大仙市中仙地区にある野口Ⅱ遺跡(のぐちにいせき)から出土したものです。野口Ⅱ遺跡は縄文時代中期の遺跡と推定されていることから、このヒスイ石環も同じ時代に作られたものだと考えられています。
写真を撮りながら、「綺麗だな~」と関心を示す筆者。その横から「実はこの石環、新潟県で採れたヒスイから作られているんですよ」と吉川さん。どうやら、新潟県のヒスイ原石を使用して作られたものだと考えられているようです。
この事実を知った筆者は、「縄文時代にどうやって秋田まで運んできたのか」、「石環はどんな意味をもっているのか」など、次々と質問が浮かびます。そうやって質問していくうちに、より当時の暮らしがクリアに見えてきました。
展示室には、テーブルの上にさらされている展示物もありました。近い距離で素材や質感などを確かめることができますが...。触ってみたい!
筆者「吉川さん、これ、触っても良いですか?」
吉川さん「いいですよ」
どうやら秋田県埋蔵文化財センターでは、見学者により近い距離で出土品を体感してもらいたいという思いから、ほとんどの展示物は触れてもOKのようです。実際に土器を触ってみると、模様の感触や素材の質感、持ち上げてみると当時の人と心がリンクするような、不思議な感覚がしてきます。
秋田県埋蔵文化財センターは、どこにでもある資料館に見えて、実は貴重な体験ができる施設でした。文化財を見て、聞いて、触れることができる機会は少ないと思います。ぜひ展示解説付きで、昔の秋田の暮らしに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
撮影協力:秋田県埋蔵文化財センター