見えてきた今年の記録的な暑さの峠と台風12号から変わった熱帯低気圧周辺の雨雲による大雨
厳しい残暑
9月3日は、高気圧に覆われて晴れ間の出ている所が多く、西日本や東日本を中心に気温が高くなりました。
全国で一番気温が高かったのは、大阪府・豊中の37.3度、次いで京都の37.2度で、最高気温が35度以上の猛暑日を観測したのは73地点(気温を観測している915地点の約8パーセント)でした(図1)。
一番多くの猛暑日を観測した8月3日の290地点(約32パーセント)に比べれば、観測した地点数はかなり減っています。
しかし、最高気温30度以上の真夏日を観測したのが660地点(約72パーセント)、最高気温25度以上の夏日を観測したのが906地点(約99パーセント)と、真夏日、夏日ともに高い数値であることには変わりがありません。
厳しい残暑が続き、各地で暑さの記録が続いていますが、そろそろ峠も見えてきました。
東京の猛暑日と真夏日の記録
令和5年(2023年)の東京の猛暑日は、8月29日の日最高気温35度を観測したことで22日となり、すでに昨年、令和4年(2022年)の年間最高記録である16日を大きく上回っています。
また、東京の真夏日は、9月3日に34.6度を観測したことで年間73日となり、平成22年(2010年)に記録した71日を上回って記録を更新中です。
東京は明治8年(1875年)6月の観測開始以来、149年の観測が積み重ねられています。
この中で、真夏日が一番少なかったのは、明治35年(1902年)の9日です(図2)。
明治27年(1894年)に65日という暑い年もありましたが、ほとんどの年は30日前後でした。
近年は、60日前後となっており、最多記録のほとんどは21世紀になってからです。
東京の真夏日の年間日数
1位 73日以上 令和5年(2023年)
2位 71日 平成22年(2010年)
3位 70日 平成16年(2004年)
4位 68日 平成30年(2018年)
5位 67日 平成12年(2000年)
東京の最高気温と最低気温の予報を見ると、猛暑日はしばらく観測することはなく、年間猛暑日の記録は22日となりそうです(図3)。
また、真夏日の記録は、予報通りなら、少なくとも14日は増えそうです。
ただ、9月7日の最低気温は22度の予報で、8月3日から続いていた熱帯夜は34日でストップすることになりそうです。
各地の記録的な暑さを止めるきっかけとなるのは台風12号、および台風12号から変わった熱帯低気圧ということになりそうです。
台風12号
8月30日21時にトラック諸島近海で発生した台風12号は、発達しながら北西に進み、9月2日には小笠原近海に達しました。
その後は進路を西よりに変えて、9月3日15時に小笠原近海で熱帯低気圧に変わりました(タイトル画像)。
台風12号は、中心付近には発達した積乱雲が少なく、周辺部に発達した積乱雲の塊があるというタイプの台風です。
このため、台風12号が熱帯低気圧に変わりましたが、これは、中心部の最大風速が17.2メートル未満となって台風基準を満たさなくなったためです。
しかし、周辺部の発達した積乱雲はそのまま存在しています(図4)。
そして、この周辺部の発達した積乱雲が北上し、東北の太平洋側から西日本の太平洋側にかけての広い範囲で100ミリ以上の大雨の可能性があります(図5)。
さらに、台風12号から変わった熱帯低気圧の南海上には別の熱帯低気圧があって北上中です。
この熱帯低気圧は、台風まで発達することはないと考えられますが、湿った空気を北上させます。
さらに、この熱帯低気圧と台風11号の間には、熱帯低気圧になりそうな積乱雲の塊があります。
【追記(9月4日10時45分)】
気象庁は台風11号の南東の積乱雲の塊の中から、沖縄の南の海上で熱帯低気圧を解析し、24時間以内に台風になって東日本に接近すると発表しました。
このため、今週は、次から次へと北上してくる熱帯由来の雨雲によって北海道と沖縄を除いて、雨の1週間になりそうです(図6)。
来週は晴れの日が多くなりますが、気温が高くなっても猛暑日には届かず、記録的な厳しい暑さから、平年より気温が高い、暑い秋になりそうです。
タイトル画像の出典:気象庁ホームページ。
図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図2の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。
図3の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図4の出典:ウェザーマップ提供資料に筆者加筆。
図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。