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この冬は寒くなる? 3波型の寒波は大雪

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
この冬の予想(寒候期予報、9月25日 気象庁)

気象庁は毎年、この時期にその冬の天候予想(寒候期予報)を発表します。今日(25日)発表された寒候期予想によると、この冬は平年並みから寒くなる可能性があります。寒冬予想は少なくとも過去10年間で一度もなく、とても珍しい。個人的に興味深く思っています。

【2013年12月から2014年2月までの平均気温】

北日本、東日本、西日本

気温が平年よりも高くなる確率 20%

気温が平年並みになる確率 40%

気温が平年より低くなる確率 40%

沖縄・奄美

気温が平年よりも高くなる確率 30%

気温が平年並みになる確率 30%

気温が平年より低くなる確率 40%

【2013年12月から2014年2月までの降雪量】

日本海側

降雪量が平年より多くなる確率 40%

降雪量が平年並みになる確率 40%

降雪量が平年より少なくなる確率 20%

冬の天候予想は何を根拠に考えるのか?

1.エルニーニョ/ラニーニャ現象

世界規模で異常気象を引き起こすエルニーニョ/ラニーニャ現象。この冬はどちらも発生する可能性は小さく、日本の冬への影響も小さいと考えています。

2.北半球大気の平均気温

北半球大気の平均気温は日本の天候に大きく影響します。北半球の大気は平年より高い状態が続いていますが、今後は平年並みに近づく予想です。

3.北極の寒気が南下しやすい

この冬の予想天気図(500hPa高度と偏差)をみると、日本の東で高度が低く、冬型の気圧配置が強まる予想です。また、北半球全体をみても、寒気が「3波型」で、日本付近に強い寒気が南下しやすいパターンとなっています。この「3波型」は寒冬によく見られるパターンで、北極の寒気が比較的長期にわたって日本列島に流れ込みます。

この冬の予想天気図(500hPa高度と偏差)
この冬の予想天気図(500hPa高度と偏差)

まとめると、

この冬は暖かい冬を示唆する予想が少なく、むしろ、日本付近に寒気が南下しやすいと予想する資料が多くなっています。そのため、この冬は北日本から西日本にかけては、平年に比べて寒気の影響を受けやすく、また、日本海側では雪の日が多くなる可能性が高くなっています。

最近の冬を振り返ると、2012年、2013年と2年連続で寒冬になりました。そう、みなさんが知っているように、昨冬は暖冬予想でしたが、結果は寒い冬。予想なんて当てにできない、そう思われても反論できないのが悔しいけれど。でも、長期予報は確実に進歩しています。スーパーコンピュータを使った客観的な予想図を読み解くことで、いろいろな予想の可能性や示唆を知ることができます。

折りをみて、また、この冬の予想について、お話できたらいいと思っています。

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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