「1日5回のセックスでも満足できなかった私」伝染病のように広がるセックス依存症「3人に1人は女性」
[ロンドン発]英BBC放送の「最悪の時は1日に5回セックスしても足りなかった」という書き出しで始まる記事が最も読まれたニュース・ランキング第1位になりました。セックス依存症の話です。
3人の子供を持つ母親のレベッカ・バーカーさん(37)は「抑えがたい欲望にのみ込まれたのは4年前のことでした。パートナーとの関係は終わりました」とBBCに告白しています。
朝起きると、レベッカさんはもうセックスがしたくて、したくて仕方ありませんでした。
「あらゆるものが私にセックスを求めさせるのです。うつ病やセロトニン(日本では別名「幸福ホルモン」と呼ばれることも。血清から分離されるトリプトファンの代謝産物の一種)の欠如と関係していると思いました。私の体のすべてがセックスを欲しがっていると感じました」「本当に5分ごとにしたくなるのです」
レベッカさんのパートナーは最初こそ喜んでくれたものの、最後は彼女の欲望を理解できなくなりました。結局、レベッカさんの方からパートナーに別れを告げました。
また、自らのセックス依存症体験を『セックスとポルノ依存症と闘ったある女性の物語(筆者仮訳、原題は“Getting Off: One Woman's Journey Through Sex and Porn Addiction”)』として出版した米ロサンゼルス出身のエリカ・ガーザさん(35)も英大衆紙デーリー・メールにこう打ち明けています。
「セックス依存症は人によって違います。私にとってセックスは精神的な逃げ道でした」。エリカさんのセックス依存症は12歳の時に始まりました。脊柱が異常に湾曲する脊柱側弯症と診断され、あざけりやいじめを受けるようになったのがきっかけです。
精神的に落ち込むとマスターベーション(自慰行為)をしたり、ポルノを見たりしてオーガズムを求めるようになったのです。「そうすると、私の不安やストレスは一気に解き放たれました」。難しい感情に直面した時、エリカさんは性的行為にはけ口を求めたと言います。
セックス依存症を世間に広く知らしめたアメリカの依存症研究家パトリック・カーンズ氏の調査によると、アメリカ女性のセックス依存症は全人口の3%で、セックス依存症の37.5%が女性だったそうです。
一方、英「セックス依存症ヘルプ」のウェブサイトでは、2万1058人を対象とした調査ではセックス依存症で助けを求める人の91%は男性。26~35歳の相談が一番多く31%でした。
カーンズ氏はあるインタビューの中で「40年余りこの問題に取り組んできましたが、多くの人がこの深刻な問題を抱えていることを知りました。セックス依存症は神話ではなく、化学物質の問題なのです」と語っています。
カーンズ氏は「アメリカでは3分の2の子供たちが宿題をしながらインターネットなどを通じてポルノを見るようになり、セックス依存症が伝染病のように広がっています」と警鐘を鳴らしています。
世界保健機関(WHO)は来年5月にも「強迫性性行動障害」を死因や疾病の国際的な統計基準となっている国際疾病分類(ICD)に加えるとみられています。
イギリスの国民医療サービス(NHS)はセックス依存症として過度のセックスやポルノ観賞、マスターベーション、買春、性的なチャットラインの利用を挙げていますが、セックスが依存症になる可能性があるかないかについては専門家の間で意見が分かれていると説明しています。
民間団体リレイトによると、セックス依存症とはネガティブな感情や難しい経験から逃れるためセックスに依存することだそうです。
他の依存症と同じようにセックス依存症になっている人の大半は何度ももうセックスは止めよう、回数を少なくしようと試みるのですが、どんなに傷ついても、止めることができません。
変だなと思ったら、彼氏や夫、パートナーと話し合って、専門家に相談し、セックスセラピーを受けることが大切だそうです。
子供たちがインターネットを通じてあらゆる情報を入手できる時代だからこそ、私たちが考えている以上に深刻にセックス依存症を受け止める必要がありそうです。
(おわり)