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大谷翔平の本塁打王奪取がさらに現実味?!今季からのユニバーサルDH制導入が決定的に

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ユニバーサルDH制の導入で打席数増加が予想される大谷翔平選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【日程通りの開幕を楽観視するコミッショナー】

 MLBが連邦調停局に仲裁申請したにもかかわらず、選手会が即座にその要請を拒否するなど労使交渉が泥沼化する中、ロブ・マンフレッド・コミッショナーが現地時間の2月10日に記者会見を開き、日程通りのシーズン開幕に楽観的な見通しを明らかにした。

 マンフレッド・コミッショナーは会見で、以下のように発言している。

 「私は楽観主義者だ。スケジュール通りにシーズンが開幕できるように労使交渉が合意できると信じている。スプリングトレーニングに関しても、現時点で何の変更もない」

【2月12日の労使交渉での合意は確実?!】

 会見に先立ち、マンフレッド・コミッショナーはオーナー陣とともにフロリダ州でオーナー会議を開き、新労使協約合意に向け選手会に提示する新たな対案について協議している。そこで示された対案を元に、12日に選手会との交渉に臨む予定だ。

 ちなみにコミッショナーの言葉通り、2月中旬からスプリングトレーニングをスタートさせるには、12日の労使交渉で合意しなければ不可能だ。それだけコミッショナーは、今回MLBが提示する対案に自信を持っているようだ。

【今季のユニバーサルDH制採用が決定的に】

 またマンフレッド・コミッショナーは会見上で、対案の内容の一部を明らかにし、ア・リーグだけでなくナ・リーグでもDH制を採用する「ユニバーサルDH制」の導入が盛り込まれていることを認めている。

 同制度は、新型コロナウイルスの影響により短縮シーズンで実施された2020年に、選手の負担を考慮して試験的に導入されていた。これが選手たちの間で好評だったことから、選手会は2021年にも同制度の採用を求めていたのが、MLBから拒否されていた。

 つまりユニバーサルDH制は選手会が今回の労使交渉で望んでいた項目の1つであり、12日での合意にかかわらず、今シーズンから最低でも5年間は同制度が導入されることが確実になった。

【大谷選手の打席数が大幅に増加する見込み】

 これはエンジェルスと大谷翔平選手にとっては朗報以外の何ものでもない。

 昨シーズンの大谷選手は、ナ・リーグ主催の交流戦ではDH制が使えないため、代打出場のみに限られていた。そのため本塁打争いをしていたブラディミール・ゲレロJr.選手やサルバドール・ペレス選手より、必然的に打席数が少ないというハンディを背負っていた。

 これに対しジョー・マドン監督は、大谷選手の出場機会を増やす意味もあり、今シーズンから外野手での起用も視野に入れる旨の発言をしていたが、ユニバーサルDH制の導入により、大谷選手の負担を増やすことなくより多くの打席数を与えることが可能になるわけだ。

【今季の本塁打王のタイトル奪取が現実味?】

 ちなみに昨シーズンの3選手の打席数を比較すると、大谷選手が639(そのうち四球数は96)だったのに対し、ゲレロJr.選手が698(同86)、ペレス選手が665(同28)だった。

 仮に昨シーズンも大谷選手が他2選手と同程度の打席を与えられていたのなら、本塁打王のタイトルを獲得できていたかもしれない。

 ただ昨シーズンのように本塁打を量産することになれば、打席数の増加に伴い四球数も増えていくことになるので、最多四球数も視野に入ってきそうだ。

 昨シーズンの最多四球数は、MLB全体でフアン・ソト選手の145で、ア・リーグはジョーイ・ギャロ選手の111だった。十分に射程圏内だろう。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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