まるでネットスケープ対応策?『GPT4』搭載『Bing』のクセ強いMicrosoft『順番待ち』戦略
『ChatGPT』を展開する『OpenAI』に対して大規模投資をする『Microsoft』は、その見返りとして、独占的に『ChatGPT』のサービスを自社サービスに組み込むことができる。GPT3.5の上位バージョンの『GPT4』のプレビュー版が『Bing』に搭載された。
『Microsoft』の検索エンジンの『Bing』による『GPT4』のプレブユ−版の提供が開始となった。しかし、その提供の方法が、かなりクセが強い。『順番待ち』のウエイティングのさせ方が、かつてのMicrosoftを彷彿させるからだ。
■『GPT4』搭載の『Bing』のクセが強い『順番待ち』戦略
新しいBingの順番待ちの方法はこの通りだ
1.Bingの公式サイトへいく
2.『順番待ちリストに参加』をクリック
3.『Microsoft』アカウントでサインイン(ログイン)
※アカウントがなければ作成する(サインアップ)
4.メールで『waitlist(順番待ちリスト)』の確認が届く。
送り先は Microsoft Bing <notifications@email3.bing.com>
件名は You're on the waitlist for the new Bing!
順番待ちのメールには『新しいBingにすばやくアクセスする』というボタンがあらわれている…。
『既に順番待ちリストに参加しています!』と表示が出ていれば、
順番待ちに登録されていることとなる…。
しかしだ…。ここからの『新しいBingにすばやくアクセスする』が異様だ…。
なぜか、レイアウトも崩れ、日本語も微妙だ…。
■まるで詐欺サイトのようなレイアウトのBing公式サイト
かなり日本語が難解だ。詐欺サイトなどでよく見かけるような変な日本語だ。
『新しいBingにすばやくアクセスする』
1セット Microsoftの規定値 お使いのPCで
2QRコードをスキャンしてインストール Microsoft Bingアプリ
https://www.bing.com/new/fastaccess
この日本語を『日本語で翻訳する』と…こうなる。
1 Microsoft EdgeをデフォルトでPCのブラウザにする
2 スマートフォン用の『Bing』アプリをスマートフォンにインストールし、Microsoftアカウントをヒモづけする
これらに対応すると、新しいBingのウェイティングリストで優先的になるというのだ。
なんとも、Microsoftらしい、いやらしい排他的な戦術だ。
順番待ちという飢餓感をあおり、さらには優先してもらうためには、Microsoftの関係のない製品を選択させるという…。
うーん、なんだか4半世紀も前の、『ネットスケープ』との攻防を思いださせてくれる戦略だ…。
サティア・ナデラCEOは、ビル・ゲイツ元CEOの排他戦略をトレースしはじめたようだ。
■『ネットスケープ』の独占市場にIEでシェアを伸ばしたOSバンドル戦略
もはや検索のガリバーとなった『Google』の検索市場に、AIネイティブとなるブラウザで挑戦する『Microsoft』という構図は、25年前の1998年の『Windows98』の時代を彷彿させる…。
1995年の、Windows95の発売時には、インターネットブラウザの『IE』は『Microsoft Plus』という拡張キットというオマケ扱いで別売だった。
そして、1995年のインターネット黎明期といえば、『ネットスケープ』全盛の時代でもあった。
『ネットスケープ』はフリーミアムモデルで、機能限定版は無料であった。
しかし、1998年発売のOS『Windows98』で『IE4』が標準バンドルとして、追加費用がなく無償で搭載されたことによって、『IE』は、シェアを拡大していく。
『デフォルト』でインターネットブラウザは『IE』が規定のブラウザ、本来の意味での『ホームページ』は、『Microsoft Internet Start』や『MSN』が『規定値』に設定されていた。
OSの『Windows98』を導入した人は、自然にMicrosoftの『IE』や『MSN』を利用するようになった。
https://yomotsu.net/blog/2022/06/16/history-of-ie.html
1998年に30%のシェアを奪ってからの『IE』はシェアを劇的に伸ばす。
そう、このMicrosoftのシェア戦略は、最初は誰も盤石な『ネットスケープ』の市場は奪えそうにないと考えていたが、あれよあれよという間に市場をMicrosoftが席巻したのだ。
Googleがネットスケープの二の舞になるとは思えない…が、歴史は繰り返される…。
そう、Microsoftの排他的戦略は、戦国時代さながらで、数々のライバルを蹴落としていった…。
『ロータス123』『一太郎』『ネットスケープ』。そして、かつての『Apple』の『Macintosh』も瀕死の停滞状態だった。
ガリバーの『Google』といえども…この戦いは絶対に落とせない戦いとなるだろう。