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まるでネットスケープ対応策?『GPT4』搭載『Bing』のクセ強いMicrosoft『順番待ち』戦略

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:Microsoft

『ChatGPT』を展開する『OpenAI』に対して大規模投資をする『Microsoft』は、その見返りとして、独占的に『ChatGPT』のサービスを自社サービスに組み込むことができる。GPT3.5の上位バージョンの『GPT4』のプレビュー版が『Bing』に搭載された。

□Microsoftは2023年2月7日(米国時間)、検索エンジン「Bing」にOpenAIの大規模言語モデルを搭載することを発表した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/240edb401b95ca8e2abf6bee5b54935bd01e3b64

『Microsoft』の検索エンジンの『Bing』による『GPT4』のプレブユ−版の提供が開始となった。しかし、その提供の方法が、かなりクセが強い。『順番待ち』のウエイティングのさせ方が、かつてのMicrosoftを彷彿させるからだ。

■『GPT4』搭載の『Bing』のクセが強い『順番待ち』戦略

新しいBingの順番待ちの方法はこの通りだ

1.Bingの公式サイトへいく

https://www.bing.com/new

出典:Microsoft
出典:Microsoft

2.『順番待ちリストに参加』をクリック

3.『Microsoft』アカウントでサインイン(ログイン)

※アカウントがなければ作成する(サインアップ)

出典:Microsoft
出典:Microsoft

4.メールで『waitlist(順番待ちリスト)』の確認が届く。

送り先は Microsoft Bing <notifications@email3.bing.com>

件名は You're on the waitlist for the new Bing!

出典:Microsoft
出典:Microsoft

ウェイティングリストに登録しました

未来の検索をぜひ体験してください。

試していただく準備が整いましたら、メールでお知らせします。

ぜひ、お試しください。

ありがとうございました。

Bingチーム

順番待ちのメールには『新しいBingにすばやくアクセスする』というボタンがあらわれている…。

『既に順番待ちリストに参加しています!』と表示が出ていれば、

順番待ちに登録されていることとなる…。

https://www.bing.com/new

しかしだ…。ここからの『新しいBingにすばやくアクセスする』が異様だ…。

出典:Microsoft
出典:Microsoft

なぜか、レイアウトも崩れ、日本語も微妙だ…。

■まるで詐欺サイトのようなレイアウトのBing公式サイト

出典:Microsoft
出典:Microsoft

かなり日本語が難解だ。詐欺サイトなどでよく見かけるような変な日本語だ。

『新しいBingにすばやくアクセスする』

1セット Microsoftの規定値 お使いのPCで

2QRコードをスキャンしてインストール Microsoft Bingアプリ

https://www.bing.com/new/fastaccess

この日本語を『日本語で翻訳する』と…こうなる。

1 Microsoft EdgeをデフォルトでPCのブラウザにする

2 スマートフォン用の『Bing』アプリをスマートフォンにインストールし、Microsoftアカウントをヒモづけする

これらに対応すると、新しいBingのウェイティングリストで優先的になるというのだ。

なんとも、Microsoftらしい、いやらしい排他的な戦術だ。

順番待ちという飢餓感をあおり、さらには優先してもらうためには、Microsoftの関係のない製品を選択させるという…。

うーん、なんだか4半世紀も前の、『ネットスケープ』との攻防を思いださせてくれる戦略だ…。

サティア・ナデラCEOは、ビル・ゲイツ元CEOの排他戦略をトレースしはじめたようだ。

■『ネットスケープ』の独占市場にIEでシェアを伸ばしたOSバンドル戦略

もはや検索のガリバーとなった『Google』の検索市場に、AIネイティブとなるブラウザで挑戦する『Microsoft』という構図は、25年前の1998年の『Windows98』の時代を彷彿させる…。

1995年の、Windows95の発売時には、インターネットブラウザの『IE』は『Microsoft Plus』という拡張キットというオマケ扱いで別売だった。

そして、1995年のインターネット黎明期といえば、『ネットスケープ』全盛の時代でもあった。

『ネットスケープ』はフリーミアムモデルで、機能限定版は無料であった。

しかし、1998年発売のOS『Windows98』で『IE4』が標準バンドルとして、追加費用がなく無償で搭載されたことによって、『IE』は、シェアを拡大していく。

『デフォルト』でインターネットブラウザは『IE』が規定のブラウザ、本来の意味での『ホームページ』は、『Microsoft Internet Start』や『MSN』が『規定値』に設定されていた。

OSの『Windows98』を導入した人は、自然にMicrosoftの『IE』や『MSN』を利用するようになった。

出典:IEの歴史
出典:IEの歴史

https://yomotsu.net/blog/2022/06/16/history-of-ie.html

1998年に30%のシェアを奪ってからの『IE』はシェアを劇的に伸ばす。

そう、このMicrosoftのシェア戦略は、最初は誰も盤石な『ネットスケープ』の市場は奪えそうにないと考えていたが、あれよあれよという間に市場をMicrosoftが席巻したのだ。

Googleがネットスケープの二の舞になるとは思えない…が、歴史は繰り返される…。

そう、Microsoftの排他的戦略は、戦国時代さながらで、数々のライバルを蹴落としていった…。

『ロータス123』『一太郎』『ネットスケープ』。そして、かつての『Apple』の『Macintosh』も瀕死の停滞状態だった。

ガリバーの『Google』といえども…この戦いは絶対に落とせない戦いとなるだろう。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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