話題のヒートショックの正体 #専門家のまとめ
歌手で俳優の中山美穂さんが自宅の浴槽で亡くなっていたことがニュースになっていました。とても残念なことです。毎年この時期になると、浴槽で亡くなる方が増えてきます。ヒートショックという言葉もよく用いられますが、これは一体なんなのでしょうか。ヒートショックについて改めて言葉の定義を見直しつつ、入浴中の死を避けるために、どのように対策すれば良いのかをまとめます。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
入浴中の死亡事故が後を絶たず、毎年冬に多いことから、以前は寒暖差による血圧変動が原因ではないかと考えられていました。しかし、実際に入浴中の救急搬送例や死亡例を調べてみると、心筋梗塞や脳梗塞といった血管病変は10%もなく、大半は体温上昇に伴う体調変化、つまり熱中症と言える状態でした。高体温で意識消失すると、そのまま浴槽で溺れてしまいます。
寒暖差に注意を払っても、多くの事例は防ぐことができません。対策として有用なのは、42度以上のお湯に長時間浸からないということです。給湯温度や風呂の温度を調節可能な場合は、高く設定しないようにしていただき、もし調節が難しい場合は、浴槽の温度に注意をしていただければと思います。
また、家族や同居者が長い時間入浴している場合には、声掛けをするなどの対策も重要です。あとはお酒を飲んだ後の長風呂は避けましょう。
もちろん、頻度は低いものの、自律神経刺激による血圧変動で、心筋梗塞や大動脈解離、脳卒中につながる場合もあり得ますので、浴室と脱衣所の温度変化を少なくするなどの対策も可能な限り行っていただければ幸いです。