プロジェクターに白いスクリーンはNG?明るい場所でも黒が濃くなる最新電動スクリーンがすごい
プロジェクターにはなるべく白くて綺麗なスクリーンが良い、というのは先入観だったようです。
こんにちは、テックジャーナリストで兼業主夫のヒデです。環境光を低減してくれるスクリーンがあるということで「プロジェクターが明るい場所でも使えるなんてゲームチェンジャーじゃん!」と試してみました。
今回紹介する製品を作っているのはVIVIDSTORMというメーカーで、海外ではかなり有名な企業です。すごいのは選べるスクリーンの多さで、今回紹介する環境光低減型以外にも環境光シャットアウト型、超短焦点専用、長焦点専用などプロジェクターの種類に応じて一番綺麗に見えるスクリーンが選べるのが売りです。
また、設置方法も天吊り以外に床置き、しかも電動という選択肢があるなど、国内メーカーの製品では実現できない選択肢があるのも非常に良いなと思いました。
スクリーンの反射に着目した製品
同じプロジェクターでもスクリーンによって画質が変わるとしたら良いものを選びたいですよね?VIVIDSTORMの製品が優れているのはスクリーンに使う素材に着目して反射をコントロールしている点で、これがプロジェクターの性能を向上させてくれます。
価格は円高の影響で100インチが17万円弱と高額ですが、プロジェクター本体を買い替えずに画質や利便性を上げられるという点でこのスクリーンには投資価値があるかなと思いました。
今回使ったプロジェクターは2150ANSIルーメンとそこそこ高輝度ですが超短焦点よりは長めの焦点距離だったので、それに合った「環境光低減型」というスクリーンにしています。これは素材色がグレーになっており、環境光の影響を低める(白いスクリーンより黒部分が引き締まる)効果があるものです。
この環境光低減型スクリーンは、光源から離れた場所で、環境光が柔らかい状態なら75%程度環境光を低減できるというものです。
今回のように光源が左から当たっている状態では100%の力を発揮できないので工夫が必要です。薄手のカーテンを使ったり、環境光から離すとかなり違います。難しい場合は逆光状態で置くのも良いでしょう。
さらにもしこれよりも高輝度なレーザープロジェクターや、超短焦点プロジェクターをお持ちの方ならこれよりもさらに環境光に強い選択肢を選べます。
例えば超短焦点プロジェクターなら今回の製品の75%よりも高い90%の環境光を低減できます。これは夜間に照明がついた状態であっても上からの光ならば阻害されずに綺麗な映像を楽しむことができるレベルです。
また、設置方法は限られるがCineVision Proというシリーズであれば上と左右全てからの環境光をブロックし、綺麗な映像が見られます。
こうした多彩な選択肢から自分のプロジェクターに合ったものを選べて画質や視聴環境を改善できるのがVIVIDSTORM製品の最大のメリットだと感じました。
明るい中で画質優先ならやはり有機ELかMiniLED
とはいえさすがに有機ELテレビ等と比べてしまうと明暗のコントラストは低いです。これはデメリットといえるでしょう。
しかし、100インチの高画質テレビとなると非常に高額ですし、設置したらそこの壁は使えなくなってしまいます。寝室にだけ大画面を設置して映画を楽しみたい、あるいはゲームをやる時だけ大画面でやりたいといったニーズがあるのであればプロジェクターとスクリーンを選ぶのも良いのではないでしょうか。
暗くすると白い壁より環境光低減型スクリーンが圧倒的に綺麗
明るい状態でも工夫すれば綺麗に映っていましたが、やはり暗くした方が違いがわかりました。こちらの写真は日中にカーテンを閉めて映したものですが、同じ状況で白い壁に映したものに比べて黒が圧倒的に締まっています。
光を投射するという特性上、プロジェクターは黒色を濃くすることはできません。スクリーンをグレーにするだけで黒がこれだけ引き締まるのなら、ポテンシャルを底上げできて素晴らしいなと感じました。
部屋が明るいままでスクリーンの色や素材がどの程度影響するのかも試してみました。一見すると薄く感じる先ほどのキャンプの映像ですが、白い紙を貼って比較してみると違いがよくわかります。
白い紙を貼った部分では濃い色が薄すぎて物足りない画になってしまうことがわかります。コンテンツの種類やプロジェクターの性能にもよりますが、コスパで選ぶならこの環境光低減型スクリーンと2000ANSIルーメン前後のプロジェクターの組み合わせがちょうど良いのではないでしょうか。
機能性もよく考えられている
画質が向上するのは前述したとおりですが、その他の機能も魅力的です。電動、床置きで設置できるということ以外に視野角が150度とかなり広い点やポップアップ式のスクリーンにありがちな凹型のたわみ、シワが出ずに真っ直ぐ立ち上がってくれる点を押さえているのもユーザー視点での製品開発が窺えて好印象です。
また、リモコンが付いているので遠くから操作できますし、工夫次第でスマートスピーカー等とも連動できます。
少しだけ気になったのは重量と高さでしょうか。かなり重いので、設置には2人以上必要になります。重さに関しては不便さを感じましたが、その重量のおかげで縦向きの足をつけなくても転倒しない安心感はあったのでここは一長一短かもしれませんね。高さは床に置くと少しだけ低い印象なので、テレビ台の上に乗せる方が良いなと思いました。
今回紹介した製品は日本でも買えますが、私がさらに注目しているのはキャビネット型の製品です。こちらはテレビ台にスクリーンが内蔵されているのでよりスタイリッシュに設置することができますし、プロジェクターが入っているキャビネットは電動で開くようになっています。こちらも円高の影響でかなり高額になっていますが、新築の際には検討する余地があるかなと思いました。私は正直欲しくなっています(笑)
安全停止機能などは付いていないなど少々荒削りな点はあるにしても、映像を映すことに関しては非常に満足のいく製品でした。気になる方は様々なスクリーンのA4サイズサンプルをオフィシャルサイトで購入できますので、取り寄せて実際に映しながら検討するのが良いのではないでしょうか。