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羽生九段、全勝で挑戦権獲得か? 豊島九段、追いついてプレーオフか? 11月22日、王将リーグ最終戦!

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 11月22日。東京・将棋会館において第72期ALSOK杯王将戦・挑戦者決定リーグ最終局がおこなわれます。カードは以下の通りです。(▲=先手、△=後手)

▲羽生善治九段(5勝0敗)-△豊島将之九段(4勝1敗)

△永瀬拓矢王座(3勝2敗)-▲服部慎一郎五段(1勝4敗)

△近藤誠也七段(2勝3敗)-▲糸谷哲郎八段(2勝3敗)

挑戦権をかけた大一番

 藤井聡太王将への挑戦権を獲得するのは羽生九段か。それとも豊島九段か。もっとも注目されるのは▲羽生-△豊島戦です。

 羽生九段が勝てば、自身2度目のリーグ6戦全勝で挑戦が決まります。

 豊島九段が勝てば羽生、豊島の両者が5勝1敗で並び、プレーオフ(挑戦者決定戦)一番勝負がおこなわれます。

 羽生九段が5勝0敗となった時点で、挑戦の可能性があるのは他に、2勝1敗だった豊島九段だけにしぼられていました。豊島九段は一つも負けられない状況だけに、羽生九段の挑戦は相当堅いのではないかと思われた方も多かったでしょう。

 しかし豊島九段はそこから白星を重ね、ついに羽生九段との直接対決にまで望みをつなぎました。羽生ファンにとっては、改めて豊島九段の強さを再認識させられる進行かもしれません。

 両者のこれまでの通算対戦成績は羽生19勝、豊島26勝です。

 羽生九段の今年度成績は19勝9敗(勝率0.679)です。

 豊島九段の今年度成績は22勝13敗(勝率0.629)です。

糸谷-近藤は残留決定戦

 ▲糸谷-△近藤戦は2勝3敗同士。勝った方が残留という大きな一番です。

 糸谷八段は3期のリーグにわたって、3敗→6敗→3敗で、計12連敗という記録ができてしまうほど、勝ち星に恵まれていませんでした。しかしそこから巻き返して2連勝。本局に勝てば残留というところまでこぎつけました。

 近藤七段は昨年の最終戦、やはり豊島九段と残留決定戦を戦い、勝って残留を決めています。

 糸谷八段と近藤七段は過去に公式戦で2回対局。いずれも王将戦リーグで、2016年は糸谷八段、2021年は近藤七段が勝っています。

永瀬王座は順位を争う戦い

 ▲服部-△永瀬戦は両者にとって初手合となります。

 服部五段はすでに陥落が決まっています。しかしそれとは関係なく、全力を尽くして戦うことでしょう。服部五段は今年度36勝12敗(勝率0.750)。対局数(48局)、勝数(36勝)、連勝(15連勝)の記録3部門でトップに立っています。ここでまた1勝を積むことができるでしょうか。

 残留を決めている永瀬王座にとっては、来期順位をめぐる戦いとなります。もし永瀬王座が勝ち、豊島九段が敗れると両者は4勝2敗で並び、今期順位上位の永瀬王座が、来期は順位1枚上となります。

 激熱のリーグ戦も、いよいよ最終局。果たしてどのような結末が待っているでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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