うつ病や適応障害での「否定的認知」を改善させる画期的な『行動実験』をご存じですか?
こんにちは、精神科医しょうです。私は普段、精神科での外来を行い、インスタやvoicyにてHSP気質に関する発信を行なっています。インスタにも遊びにきてね(外部リンク)
今現在、うつ病や適応障害にお困りの方もいらっしゃるかと思います。
うつ病や適応障害になると、心も身体もしんどくなってしまいますよね。。
今までは前向きに捉えられていたことも、病気の影響により、否定的となってしまいます。
特にうつ病は、「否定的認知の三徴」と言って、「自分」「周囲」「未来」に対して、否定的となってしまうことが知られています。
- 自分・・・「どうせ自分なんかダメな人間だ」
- 周囲・・・「友達も親も私のことを見捨てるに違いない」
- 未来・・・「この先もずっと良くなることはない」
このように考えてしまいやすいのですが、これはまさにうつ病という病気の影響、特徴であって、ご自身を責める必要はありませんからね。
病気がそうさせているんです。そのことを頭に入れておいてくださいね。
しかし、そうは言っても、否定的な考え方のままでは、自分自身が一番しんどいでしょうから、少しずつ改善していく必要があります。その改善方法について解説していきますね!
否定的思考の改善方法
その時に役立つのが、「行動実験」という方法です。
認知行動療法の中で、取り上げられることが多いのではないでしょうか。
認知行動療法とは、非機能的な思考や行動を修正し、今抱えている問題を解決しようとするもののことを言います。
簡単に言うと、ものの考え方や受け取り方、行動のバランスを取ることで、気持ちを楽にしたり、ストレスを軽減したりする療法のことです。
その認知行動療法の中で、「行動実験」が出てきます。
先程お伝えしたように、認知行動療法は、非機能的な思考や行動を修正し、今抱えている問題を解決していこうとするものですが、うつ病や適応障害などの状況下では、それがなかなか上手くいきません。
そこで、「行動実験」という考え方が非常に大切になってきます。
まさにその名の通り、実際に行動し、実験してみることで、自分自身の思考や行動の妥当性を確認、検証してみようとするのが行動実験です。
やはり、他人からいくら言われても、納得のできないこともありますからね。
自分の目で見て、耳で聞いて、体感してみることが大切です。
では、ここからは「行動実験」について、具体例を挙げながら、少し詳しく説明していきたいと思います。
実際に紙に書き出してみてくださいね。
例)職場の同僚から嫌われていると感じている時
①試してみたい考え
→「職場の同僚から嫌われているに違いない」
(この考えが正しいかどうかを確認したい)
②その考えの実験前の信頼度(0~100%)
→85%
③実験計画(5W1Hを意識し、少しでも詳しく書く)
→○月○日、職場で○○さん(嫌われていると感じている同僚)に声をかけ、食事に誘ってみる
④実験の予測(どんな結果、反応が得られるか?)
→○○さんに食事を断られる
⑤実験するにあたって予測される問題
→○○さんに声をかけることすらできない
声をかけたとしても、食事に誘えない
⑥問題が起きた場合の対処法
→その日の夜にLINEで食事に誘ってみる
⑦実験結果(どんな結果、反応が得られたか?)
→食事に一緒に行くことを了承してくれた
思っていたより、普通に会話してくれた
⑧①の考えについて、実験後(現在)の信頼度(0~100%)
→50%
⑨この実験から学んだこと
→実際に行動してみないと、何事も分からない
自分が勝手に嫌われていると感じているだけで、相手はそれほど気にしていない
いかがでしょうか?
何となく流れは掴めましたか?
このように細かくステップを刻むことが重要です。
予測される問題や、その問題が起きた時の対処法まで考えてみると良いかと思います。
恐らく、この行動実験を試してみることで“一時的には”気持ちが楽になるものの、またすぐに気持ちがしんどくなったり、考え方が変わらない、受け入れられないという方も当然いらっしゃるかと思います。
その場合には、気持ちが楽になるまで、考え方が変わる(適応的になる)まで、何度も実験を繰り返してみてください。
もちろん、無理のない範囲で結構です。
ご自身が出来る範囲で、無理なく実践、継続していくことで、徐々に気持ちや考え方が楽になってくることを感じ取ることができるかと思います。
何事も継続が重要です。
また、この行動実験は、その名の通り「実験」ですから、上手くいかなくても全く問題ありません。
「実践できなかった」
「思うような結果が得られなかった」
全く問題ありません。
「実践できなかったということは、今はまだやるべきことのハードルが高かった」
「思うような結果が得られなかったということは、やり方が違っていただけで他を試せば良いということ」
このように考えればOKです。
「あくまでも実験」
行動してみることでどんな結果が得られるか?
何が起こるか?
それを試すのが実験です。
あなたのペースで無理なく実践していけば問題ありません。
ここまで読んでいただいた方の中には、この「行動実験」を日常生活の中にも落とし込めることにお気づきの方もいらっしゃるかと思います。
人間関係の悩み、仕事の悩み、恋愛の悩みなど、その時に頭に浮かぶ“考え”“悩み”を先程の要領で紙に書き出し、実践していくことで、少しずつそれらの悩みが改善、気持ちが楽になっていくはずです。
そんな日常生活の悩みにも、ぜひ今回お伝えした「行動実験」をお試しください。
皆さんのお悩みが少しでも楽になれば幸いです。
まとめ
うつ病や適応障害などにお困りの方は、「行動実験」を意識してみましょう。
行動実験とは、実際に行動し、実験してみることで、自分自身の思考や行動の妥当性を確認、検証してみようとすることです。
実践の際には、「あくまでも実験」と思うことが大切であり、実践できなかったことや、思うような結果が得られなかったとしても全く問題ありません。
その結果を基に、次に繋げていくことが大切です。
自分のペースで無理なく実践し、継続していきましょう。
うつ病や適応障害にお困りの方以外にも役立つ内容なので、ぜひ実践してみてくださいね♪
私のブログのテーマは、「他人軸でなく自分軸で気楽に生きる」です。
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