女性部下が泣いた時、上司が絶対にしてはいけない3つのこと
女性の社会進出は進んでいますが、「女性管理職」となると、思ったように増加していないという現状があります。業種によりまちまちではありますが、まだまだ日本の企業で圧倒的に多いのは、男性管理職です。
そんな企業の現場で男性管理職からたびたび相談を受けるのが、女性部下に対する対応です。「女性部下がどう考えているのかわからない」「女性部下への指導の仕方がわからない」と、異性の部下への対応に戸惑う男性管理職の方たちがいます。
時には男性の幹部の方から「女性部下に泣かれてしまったら、どうすればいいですか?」と尋ねられることもあります。
そこで、特に強い言い方をしたわけではないのに、女性部下に泣かれてしまった場合の対処法をお伝えします。
女性部下が注意されて泣く理由
さて、女性部下はどうして泣いてしまうのでしょうか?
上司に失敗を注意されて泣いてしまったとしても、女性部下も泣きたくて泣いているわけではないのです。いくら「男性は女性の涙に弱いもの」とはいっても、もちろん男性上司を困らせようとして泣いているわけではありません。
女性部下が泣く主な理由は、
①自分が失敗してしまったことや、周囲の評価を下げてしまったことなどが悔しいから。
②失敗をしてしまった自分自身に対して、情けなかったり、不甲斐なく感じているから。
③自分の事情や気持ちを理解してほしいから。
などです。以上のような気持ちが起こって、止めようにも涙がこぼれ落ちてしまうことが、「女性部下が泣く理由」です。
しかし、女性部下が泣いてしまうと、男性上司はそれ以上強く言えなくなってしまうことが多いでしょう。
女性と男性の働く目的の違い
女性の場合、もともと昇進意欲を強く持っている人は少ない傾向にあります。昇進を重ね、管理職になりたいと思っている女性社員は少数派なのです。
その理由は、古くからの「女性は男性の補助が仕事」という性別役割意識が、今でも根強く残っていることにあります。
女性は自分の地位を上げたいと強く思っていないため、「もっと上に引き上げるため」「さらに力をつけるため」と、男性上司が自分の感覚で厳しく指導すると、逆に「自分は大事にされていない」「存在価値を認められていない」と落ち込み、泣いてしまうことも多いのです。
女性は仕事をする目的として、「仕事を通じて、誰かの役に立ちたい」と考えたり、誰かのサポートをすることに意義を感じている場合も多くあります。その点が、上昇志向を持っている傾向が多い男性とは違うのです。
女性部下の指導で「してはいけない」3つのこと
①人前で注意しない
ただでさえミスを指摘されるのはつらいことですが、さらに周囲が聞いている前で注意をされると、自尊心が傷ついてしまい、仕事への意欲を失ってしまいかねません。また、女性は特に仲間意識が強いため、周囲の女性社員も注意されている女性部下に同情し、「ひどい、かわいそう」と上司を敵とみなしてしまう場合もあります。
②感情的にならない
女性より男性の方が身長が高いことが多いものですが、自分より身長の高い男性管理職から大きな声を出されると、人は恐怖を感じることがあります。恐怖を感じると、たとえ仕事上の指摘であっても、冷静に対処はできません。ともすれば女性社員から「ヒステリック」と受け取られてしまうため、感情的な注意はしないようにしましょう。
③責める言い方をしない
「どうして」「何で」など、マイナスイメージのある言葉で責めても、部下はモチベーションを失ってしまうだけです。
×「何でこんなことになったんだ」
〇「〇〇さんがこんなミスなんて、何かあったのか?」
×「そんなこともできないのか」
〇「〇〇さんならできるはずだ」
例のように、部下への信頼を伝えることを忘れないようにしましょう。
女性部下が泣いてしまったら
女性だから、泣いてしまったから、と対応を大きく変えるのは良くありません。「男性だから」「女性だから」というより、人間はひとりひとり個性を持っています。それぞれの個性に合わせて、接し方を考える方がいいのです。
しかし、異性となるとついつい構えてしまい、気を使いすぎたり、強くは言えないこともあるでしょう。
昔は「トイレに行って泣いてこい」と言って、突き放すようなこともありましたが、それはいい方法ではありません。逆に、泣いてしまったからと甘い対応を取るのも間違っています。
泣いた女性部下に対して、「決してしてはいけないこと」は次の3つです。
1.理由なく謝る…部下に問題があって注意しているのに、筋が通らない
2.とにかく優しくする…「その場を収めたい」が先立ってしまっている
3.注意をやめる…逃げていることになる
急に女性部下が泣いてしまって動揺する気持ちはわかりますが、上記のことをしてしまうと、問題の解決につながりません。そもそも指導は、部下のこれからの成長のために行っていたはずです。それなのに、うやむやにしてその場を収めてしまっては、わだかまりだけが残ってしまい、普通に接することも難しくなってしまうかもしれません。「女性部下が泣いた」ことで、それまでの指導まで変えてしまってはいけません。
目標のために指導をしていたのですから、その目標のために、配慮をしながらも話し合いを続けましょう。途中で指導をやめてしまうと、目指すべき目標を見失ってしまいます。しかし、女性部下の泣き方がひどく、話し合いが進まないようなら、「後の機会にしましょう」と別の時間を持つのもいいと思います。
まとめ
どんな場合であっても、「泣く」ということは、女性部下は何らかの言いたいことを抱えています。それは、往々にして「承認欲求」であったり、「自己主張」であったりします。
男性上司には、話を聴くのが苦手な人が少なくありません。相手が泣いていたら、なおさらでしょう。しかし、せっかく主張を抱えて話しているのに、男性上司が「面倒なことになった」とばかりに話を早々に切り上げてしまったら、女性部下は不完全燃焼のままです。
女性部下の話をなおざりにせず、しっかりと耳を傾け、指導すべきところはきっちりと指導しましょう。もし女性部下に泣かれてしまうようなことが起こっても、それはピンチではなく、関係性を向上できる良い機会かもしれません。
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太田 章代