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大観衆が集まった注目ゲームで昌平は前橋育英に敗れてベスト16で姿を消す

椛沢佑一浦和フットボール通信編集長(さいたま市)

第101回全国高校サッカー選手権大会3回戦。埼玉県代表の昌平高校は、夏のインターハイ王者、前橋育英との対戦となった。会場となった浦和駒場スタジアムは15,372人の大観衆となり、注目の一戦に観客が固唾をのんだ。

試合は開始早々に動く。2分、この試合に抜擢された昌平のFW上野旭陽がロングボールで前橋育英ディフェンスの裏に抜けると、GKと1対1となり、シュートは弾かれるも、そのこぼれた球を10番MF荒井悠汰が無人のゴールにロングシュート。これが決まり昌平が試合早々の先制点を挙げる。

FC東京への入団が内定している荒井選手は「一試合目はチームに迷惑をかけていたので、今日は獲ってやろうという気持ちで、得点が獲れた。しかしチームが勝っていないので意味がないので、もっとチームを勝たせられるような存在になりたい」とゴールを振り返った。

しかし前橋育英も13分、個の高さをみせて9番MF小池直矢がゴール前で起点を作ると、15番FWの山本颯太がワンツーで裏に抜け出て、左足でゴールに流し込み、同点とする。勢いに乗る前橋育英がペースを握る時間が続くも昌平ディフェンスも粘り強く守り、前半は1-1で折り返した。

後半、昌平は最前線のFW上野に替えて、FW小田晄平を投入。しかし前橋育英ペースをなかなか崩すことができない。すると50分、前橋育英のMF小池のクロスボールをゴール前でMF青柳龍次郎があわせて、前橋育英が逆転に成功する。昌平も同点を目指してギアをあげる。62分には左サイドから10番MF荒井悠汰の高精度のアーリークロスがFW小田にピタリと合い、小田がトラップから浮かせたシュートを放つもボールはわずか外に外れてゴールとはならなかった。昌平はFW伊藤風河、MF佐々木小太朗を入れて反撃を試みるも前橋育英の固い守備を崩すことができず、試合はそのまま終了して1-2で前橋育英が勝利をした。昌平は全国制覇を目指したものの、ベスト16で大会を去ることとなった。

藤島監督は試合後、「前橋育英さんのプレスの速さとか局面の粘り強さ、そういった部分が非常に素晴らしかった。我々が足りないものを全部見せていただいた。そういったゲームになったのは残念ですけども、我々も学びながら成長を遂げなければいけないと思ってるので、それを次の糧にしたいと思っています」と敗因を語った。

鹿島アントラーズへの入団が内定しているキャプテンの津久井佳祐選手は「期待された一年で選手権にかける思いはすごく大きくて、だからこそ勝つことを目標にしていたのですけど、負けちゃって本当に応援してくれた方々に申し訳ないと思います」と敗戦を悔やんだ。

夏のインターハイベスト3、プレミアリーグ昇格を決めて最強世代と言われた今年の昌平だったが、インターハイ王者の前橋育英の壁を破ることはできなかった。藤島監督は「攻守の切り替えの部分の強度が高まると、ボールを動かすというスタンス一つだけではなかなか難しい部分もある。そこでスピーディーに行く状況なのか、それを上回るスキルで行くのか、そこは整理しながらやっていきたい。逆に展開という部分をより重視しながらやっていくことで見出せる部分もあるかもしれないですし、いろんなバリエーションを持っていくのが次への課題かなと思います」と今後への課題を口にしていた。

ストライカーの小田(2年)、トップ下の大谷(1年)、ボランチの長(2年)、土谷(2年)、センターバックの石川(2年)、サイドバックの上原(1年)とスタメンを見ても1、2年生が多いチームだけに、津久井キャプテンから厳しい言葉をかけられたことに発奮をして、新チームでは埼玉高体連では初となるプレミアリーグでの戦いもやってくるだけに新たな挑戦に期待をしたい。

浦和フットボール通信編集長(さいたま市)

サッカーの街と人を応援するFANZINE「浦和フットボール通信」編集長。フリーマガジンを年5回発行。ウェブサイト「浦和フットボール通信」「浦レポ」「埼玉サッカー通信」で、浦和レッズの情報から、埼玉のサッカー情報、サッカーの街の情報を発信しています。また「浦和フットボール映画祭」など、サッカーイベントなどもプロデュースしています。

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