「ONE PIECE」既刊92巻まで無料公開開始!クライマックスに向けた漫画の無料公開の効果とは
尾田栄一郎氏による世界的人気漫画「ONE PIECE」が、本日6月27日から本編最終章突入に向けた既刊の大幅無料公開を開始します。
内容は、「少年ジャンプ+」および「ゼブラック」にて、既刊1巻から92巻分までが、来月7月31日まで段階的に無料公開されるというもの。
今年で連載25周年を迎える長寿作品の本作が、来月7月25日からいよいよ最終章に突入することに向けて始まる1ヶ月以上にも及ぶこの大幅無料公開。
実は本作の他にも、近年様々な人気漫画作品で実施されている取り組みでもあります。
■クライマックスに向けた無料公開実施例とその効果
前述の通り、本作のように最終章やクライマックス突入に合わせて、これまでのお話を無料公開する作品が話題になることが増えてきています。
たとえば、先駆的な事例として特に大きな話題となったのが「進撃の巨人」。
原作の内容もクライマックスに向けて進む2019年、連載10周年感謝企画として、当時の最新29巻までが99%OFFで読めるという「最終回まで一緒に読もう!キャンペーン」が実施されました。
本作についてはその後も連載完結の2021年4月までに、都度無料公開を実施。
こうした取り組みの中で、 連載11年の間に未読巻がたまっていた読者なども足並みが揃い、多くのファンに見守られながら堂々の完結を迎えました。
最近の例では、今年4月に完結を迎えたばかりの「ゴールデンカムイ」が挙げられます。
クライマックス突入に向け度々実施されてきた全話無料公開は、コミックス派やアニメ派だった人達はもちろん、これを機に初めて本作に触れた読者も多く巻き込み、完結当日はSNSのトレンドを軒並み関連ワードが賑やかすほど盛り上がる堂々の最終回を迎えました。
どちらの作品でも大きなポイントとなっているのはラストに向けて“ファンの足並みを揃える”ことと、“これを機に初めて触れる読者を招く”こと。
アニメ・漫画好きならタイトルを知らない人はいないような有名作品ですが、皆が皆、原作漫画を・最新話までチェックしているかというと、そうでない人も少なくありません。
そんな層までをも巻き込むことで、ただでさえ注目の集まるクライマックスがさらに盛り上がる。最終回に向けた全巻無料公開には、そんな大きな効果があることが、両作の完結時の盛り上がりからは窺えます。
こうしてみると、確かにクライマックスに向けた無料公開には、話題性も生まれ、注目も集まり、大きな効果があるようにも思えます。
ただその一方で、無料公開をすることで、お金を払ってコミックスを買う人が減ってしまえば、損をすることの方が大きいのでは、とも感じてしまう人もいるかもしれません。
しかし、欲しいものの対価としてお金を払う買い切りに加え、まずは無料で体験し、気に入ったものや追加要素等に対して課金を行う、もしくは一定額を支払い提供内のサービスを受けるサブスクリプションという消費の形も主流となってきた近年。
ただでさえエンタメコンテンツ数の多い中、これまで通りコミックスや本誌を購入してくれる層に加え、それ以外の層にも、何かしらの方法でまず作品を知ってもらい、そこからさらに作品を気に入ってくれた人に課金に近い感覚でコミックスや本誌も購入してもらうには、この無料公開という入口はむしろプラスで効果的な方法となっているのではないでしょうか。
単なる話題性だけではなく、近年漫画作品でのクライマックスに向けた無料公開が増加していることには、そうした人々の消費習慣の変化なども、背景として関わっていそうです。
※2022年6月27日11:25 無料公開の方法について、段階的な公開であることの詳細情報を追記いたしました。