災害対策を変えた台風 子年の上陸台風は九州・四国が多い
相次ぐ台風、大雨警戒レベルが導入された2019年。被害は防げたのか。来年の台風シーズンを展望する。
台風19号でも変わらない課題
昭和、平成と時代を経ても台風の被害はなくなりません。台風による死者数は1979年(昭和54年)台風20号を最後に100人を下回っています。
しかし、さまざまな台風情報が発表され、上陸日時が数日前から分かるにもかかわらず、台風の死者数は未だゼロにならず。今年も日常を一瞬にして変えてしまうような被害が起こりました。
災害対策を変えた台風
これまでの台風を振り返るといくつかのターニングポイントがあったように思います。
ひとつは2004年です。上陸した台風は10個、気象関係者のだれもが予想していなかった台風ラッシュでした。10個目の上陸台風となった23号では京都府福知山市から舞鶴市を流れる由良川が氾濫し、動けなくなった観光バスの屋根で、乗客が歌を歌い互いに励まし合いながら一夜を明かした話を覚えている方もいらっしゃるでしょう。この年をきっかけに台風情報の充実が図られました。
そして、特別警報創設のきっかけとなったのが2011年の台風12号です。紀伊半島では総雨量2,000ミリに達し、土砂ダムという言葉も使われました。従来の大雨警報では十分な避難に結びつかない現実を見せつけられたのです。
最近では2014年の台風19号です。今年の流行語大賞にも選ばれた計画運休が初めて京阪神地区で行われました。これ以降、さまざまな場面で台風に備える対策が進んだようです。
今年は大雨警戒レベルが導入され、避難の呼びかけが変わった一年でした。それでも目のあたりにした被害の深刻さに、課題が残りました。
来年(2020年)はどのような年になるのでしょう。
子年の台風を1960年、1972年、1984年、1996年、2008年と調べてみました。上陸数は1984年と2008年がゼロに。台風の記録が残る1951年以降で、台風の上陸がなかった年は4年しかなく、その半分が子年とは。
一方、上陸した台風を詳しくみると、九州が4個、四国が3個、東海が2個でした。今年のように関東地方に上陸した台風はありませんでしたが、1996年9月22日、房総半島沖をすり抜けた台風17号では首都圏が暴風雨に見舞われました。千葉県茂原市の一宮川が氾濫し、市街地が水につかったそうです。
台風19号の爪痕が残る師走。日常のありがたさが身に染みた一年に、来年は台風の被害が少ない年になりますよう願わずにはいられません。