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風男塾 新体制で新たな章に突入した6人 「時代が変わり、メンバーが変わっても風男塾は続いていく」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
左から藤守怜生、紅竜真咲、香月大弥、桜司真太郎、草歌部宙、愛刀健水

2018年に結成10周年を迎えた、人気男装ユニット・風男塾(ふだんじゅく)。メンバーの卒業、新加入を経て、2019年2月から新体制で新たな章に突入した。6月19日には新曲「Dash&Daaash!!」をリリースし、8月からは新体制で初めての全国ツアーを行う。伝統と革新、二つを両輪に突っ走る風男塾の愛刃健水(あいば・けんすい)、藤守怜生(ふじもり・れお)、紅竜真咲(くりゅう・まさき)、草歌部宙(くさかべ・そら)、そして新加入の桜司爽太郎(おうじ・そうたろう)、香月大弥(かつき・だいや)の6人に、4月に行われた新体制となって初のワンマンライヴについて改めて振り返ってもらい、そこで感じた事、手にしたもの、そして新曲「Dash&Daaash!!」について、これからの風男塾についてをインタビューした。

新体制での初ワンマンライヴは「どうなろうとか、こうなろうとかではなく、“なっていくもの”だということを感じた」(草歌部)

――まずは、4月に行われた新体制での初のワンマンライヴを、振り返っていただいてもいいですか?

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愛刃 とにかく緊張しましたけど、ちょっと自信がありました。というのは本番までにかなり綿密に練習して、新しいメンバーともコミュニケーションがちゃんと取れていたので、自信がありました。通しリハの時に、スタッフさんが「感動した」って言ってくださって、それを聞いたときに、「よし!いける」と思ったし、素直に嬉しかったです。だからライヴ当日は冷静な自分もいて、楽しめました。セットリストも悩みに悩んで、でも自分達が不安を抱えているとファンのみんなもついてきてくれないと思ったので、自信を持って臨みました。

草歌部 先輩が二人(瀬斗光黄・仮屋世来音)卒業して、新メンバーが二人加入して、僕も先輩の立場になって、改めて先輩の偉大さがわかったし、だからこそ自分は後輩にどう接すればいいんだろうって悩んだりもしました。でもあの日ステージ立って思ったことは、どうなろうとか、こうなろうとかいうことではなく、“なっていくもの”なんだ、ということでした。今の僕にしか見れない景色、感じられないことがあるからこそ、今の役割があると、あのステージに立ってはっきりしました。

藤守 ライヴは追加公演も含めて二日間あって、今回のセットリストは、後半にダンス曲が5曲続いて、ファンのみんなが心配するくらいハードで限界にチャレンジした感じでした。一日目の一部が終わった時に「これを二部でもやったら死ぬ、もうできない」と思いました。でも、二部の方がさらに体も動いて、もっと上に行けた気がしました。2日目も、さすがにと思っていたら、またさらに上の景色が見えて。自分達も見えると思っていなかった景色が見えた気がして。ファンのみんなにもそれは伝わっていると思うし、この3公演で、新生風男塾とファンが一体になったと思いました。

香月 2月に加入して、お披露目を中野サンプラザでやらせていただいてから2か月間、ファンの皆さんの前に立っていなくて、ネット配信とかSNSでしかみなさんに伝える場がなく、その中で、ワンマンライヴ2日間のステージに立たせていただけて、ある意味スタート地点でした。ここで第一印象が決まるのかなって考えながら、ステージに立ちました。

「先輩たちに助けてもらい、ファンのみんなに応援して支えてもらい、みなさんのおかげでステージに立てている」(桜司)

「今まで自分が見えていなかった新しい視点で、物事を見ることができた」(紅竜)

――新しく加入して、約100曲ある風男塾の楽曲と振り付けを覚えるのは、並大抵のことではないと思います。

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香月 振り付けは(藤守)怜生君が、僕と(桜司)爽太郎君につきっきりで教えてくれて、だからこそステージに上がる前は二人で「怜生君に感謝しながら踊ろうね」って言っていました。

藤守 えーっ!なんか嬉しい(笑)。

香月 怜生君に何かお返しできるとしたら、自分達のパフォーマンスでしかお返しできないから頑張ろうって決めて、ステージに向かいました。

紅竜 自分はただただ不安でした。それは形が変わった風男塾を、ファンのみんなが観にきてくれるのか、来てくれたとしたらどういう表情で観てくれるのか、不安でした。でも健水君がMCで「正直不安でした。でもみんなが来てくれて本当に嬉しかった」って言った時に、健水君も今の自分のような思いを抱えてステージに出ていったのかなと思うと、不安がなくなり、今まで自分が見えていなかった新しい視点で、物事を見ることができたライヴでした。

桜司 僕も正直不安でした。でもみんなで必死に練習してきたし、観せられるものは全部出そうという気持ちで、ステージに立ちました。振りを間違えて悔しい思いもして、付きっきりで教えてくれた怜生君にも申し訳ないと思ったし、健水君に「あそこ間違えて、すみません」って謝った時「大丈夫。最初から完璧にできてたら俺らどうすればいいの」って励ましたくれり、ステージ上でも(草歌部)宙君が「(風男塾に)入ってくれてありがとう」って言ってくれて、感極まってしまいました。そういう先輩たちの言葉や、ファンの方は、新メンバーなのにピンク色のライトを振ってくれたり、みなさんのおかげで、ステージに立てていることを実感しました。

「自分が引っ張っていくというよりは、みんな自由にやって、弾けてほしい。その横を一緒に歩いていきたい」(愛刃)

――引っ張っていく立場になった健水さんは、この6人になってどんな風男塾にしていきたいと思いましたか?

愛刃 風男塾に入って8年、このグループのよさって一人ひとりのキャラクターがしっかりあって、CDを聴いても誰が歌っているか、誰の声かがすぐわかるところだと思っていて。自分が一番上に立つから、こういう風男塾にしていこうという感じではなく、今までの風男塾を基盤に、みんな自由にやりながら、弾けて欲しいって思っています。そういうみんなの横で、みんなのことを見ながら一緒に歩いていきたい。とにかく自由にやって欲しい。その中で、やっぱりライヴでコミュニケーションを取っていくことで、どんどんチームワークがよくなっていくのが風男塾だと思います。

――では、真夏の全国ツアーが終わった時に、どんなグループになっているのか楽しみですね。

愛刃 自分達でも楽しみです。今回もかなりハードなスケジュールですが(笑)、でも毎年これだけの本数をやらせていただけるのは、ありがたいことです。新体制になったので、今まで以上に“ソールドアウト公演”を増やしていきたいです。

「新曲はまるで自分達のことを歌っているみたい。風男塾という仲間、チームで冒険している途中」(香月)

――2月の中野サンプラザライヴで初めて披露した「Dash&Daaash!!」が、6月19日に新体制となって初のシングルとしてリリースされました。アニメ「群青のマグメル」のオープニングテーマになっていますが、歌詞が、風男塾の決意表明のようで、風男塾のテーマソングのような感じです。

ニューシングル「Dash&Daaash!!」(6月19日発売)
ニューシングル「Dash&Daaash!!」(6月19日発売)

愛刃 おっしゃっていただいた通りだと思います。勢いがあるし、まずひと言目が<Strat!>なので、ここでグッと気合が入るというか。風男塾らしさもギュッと詰まっている曲調と歌詞なので、中野サンプラザで初めて歌った時も、ファンのみんなの心をつかんだなという手応えを感じました。曲に助けられて、自分達もそこに乗っていっているというか。カッコ悪くてもいいんだ、付いて来いよ!という感じがいいですよね。これから始まるツアーでも、会場全体が盛り上がっている画が想像できます。

藤守 振り付けも覚えやすくて、ファンのみんなは最初から最後まで一緒に踊れると思いますが、結構ハードなので(笑)。でも目が合うところも多いし、絆が深まって、曲がどんどん完成していくと思います。

紅竜 仲間で冒険していく中で、無謀かもしれないことがあっても、でも俺たちは行くぜ!という、まさに少年マンガの王道を行くような内容なので、少年マンガ好きとしてはたまらないです(笑)。今僕らは、風男塾という仲間、チームで冒険している途中だと思うので、この歌を歌っているとワクワクしてきます。

「新曲は人間の二面性をちゃんと表現した、人間味がある曲。心を込めて歌える大切な曲」(香月)

――プロデューサーチームQ-MHzが作詞・曲・編曲を手がけているだけあって、熱量が高くてキャッチーな曲ですが、難しい曲ですよね。

愛刃 高いところから低いところまで、全部攻めてくる曲なので、レコーディングは難しかったです(笑)。

――お気に入りのフレーズを教えて下さい。

紅竜 <We are dreamers>って叫ぶところが好きです。

香月 <限界って言葉はキライさ><キライだ>って叫ぶところがいいですよね。

桜司 <辞書には無いよって叫ぼう>という歌詞が、めっちゃいいです。

草歌部 <ちゃんと今を感じたいと 君の心が伝わってきた>というところは、ファンのみんなの気持ちがきちんと伝わってきているから、僕たちはこうやってステージで歌っているんだよということを、いつも思いながら歌っています。歌っているというよりも、感情をぶつけているというイメージが強いです。だからライヴで歌ってすごく伝わる歌詞だなって思います。

香月 <野蛮>とか<カオス>とかいう言葉もあれば<ハッピー>という言葉もあるし、人間のいい面だけではなく、二面性を表現している歌詞なので、すごくいいなって思います。ライヴ中もメンバー同士でアイコンタクトしたり、ちょっと遊べる部分もあったり、最後はクールに決めることができて、人間味がある曲で、自分達も心を込めて歌える大切な曲です。

「カップリング曲『Excuse You!』の仮歌は、卒業した(瀬斗)光黄君が歌ってくれました」(愛刃)

「アドリブのセリフは、その場で考えたというよりも、口から自然に出た感じ(笑)」(藤守)

――カップリングの、マーティ・フリードマンさん作の「Excuse You!」は、マーティさんのギターが唸りまくっているハードナンバーです。

6月20日、池袋サンシャインシティ噴水広場で行われた、新曲発売イベントに登場した、マーティ・フリードマンと風男塾
6月20日、池袋サンシャインシティ噴水広場で行われた、新曲発売イベントに登場した、マーティ・フリードマンと風男塾

愛刃 ビックリしました(笑)。いつかはライヴでも弾いていただきたいです。レコーディングの時は、新しいジャンルなので歌っていて楽しかったのですが、その時は本当にしっくりきているのかどうかがわからなくて、自分の声が曲に合っているのかが不安というか。みんなの声が入ったものを聴くと、風男塾らしい曲だなと思いました。今回仮歌を歌っていたのが卒業した(瀬斗)光黄君で、ギリギリまで知らされていなかったんですけど…。

紅竜 本人がただならない空気を出していまして(笑)。「仮歌聴いた?」って何回も聞かれて、でも気づいていないふりをしました(笑)。

草歌部 最後にそれぞれのアドリブのセリフが入っていて、それも楽しかったです。元々歌詞の中にセリフが含まれている曲はありますが、レコーディングの時アドリブで、というのは今までなかったと思います。

愛刃 本当にアドリブなので、自分達でその場で考えたものです。

藤守 その場で考えたというより、口から自然に出た、という感じ(笑)。

香月 何回もセリフを言い続けてました。

紅竜 何言ったか、忘れました(笑)。

草歌部 テーマが一人の女性に対して猛アピールして、くどくという感じで。

紅竜 振り回されている歌なんですって。そういうのいいなって思いました。歌詞もセリフっぽいので、お芝居しているような感じでした。6人の色々な表情を見せられるので、楽しめると思います。

愛刃 振りが付いたらもっと楽しい曲になって、この曲は人気曲になる可能性大です。アイドルらしさもしっかり感じる振り付けになっています。

紅竜 フリーのところも多いので、そこでもメンバーそれぞれの個性が出ると思います。

「『夢の座標』の振り付けは、少しのミスも許されない集団行動のようなイメージ」(藤守)

――「夢の座標」は、言葉をしっかり伝えようという作品になっています。

愛刃 ここまでセリフが入っている曲は今までなかったです。表現の仕方が今までと違うというか、曲調も言葉も爽やかなイメージがありますが、感情を込めすぎずにふわっと歌うほうが、響くと思います。不思議な感覚だし、風男塾として新たな挑戦だと思います。

香月 Aメロを歌わせていただいているのですが、何回も歌い直していくうちに、スタッフさんから「これは歌がうまく聴こえないほうがいい曲だから。しゃべっている言葉を歌にする感じでやって欲しい」と言われ、「青くささが欲しい」ということも言われ、10代が持つ若々しさを意識して、歌いました。

藤守 振り付けは、少しのミスも許されない集団行動のようなイメージで、とにかく難しくて。上から見ると隊形が美しいという感じです。

「8月からスタートするツアーは、時代が変わってメンバーが変わっても、風男塾は続いていく、みんなとつながっていくということを、ファンのみんなと確認する場」(草歌部)

――8月からスタートするツアーには『風男塾 LIVE TOUR 2019 A WIRE~離れていても僕らはつながっている~』というタイトルがついています。

草歌部 令和最初の夏にこれだけツアーができるいうのは嬉しいですし、改めて、時代が変わってメンバーが変わっても、風男塾は続いていく、みんなとつながっていくということを、確認し合う場だと思っています。

愛刃 ファンのみんなをいつでもドキドキさせたいです。

風男塾 オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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