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”GOT7、JYPと決別” 韓国での報道 多くはK-POPの「7年ルール」強調 ”存続”報じる媒体も

(写真:アフロ)

K-POP男性グループ「GOT7 現所属事務所JYPと契約更新せず」

10日の韓国発の第一報以降、現地では多くの関連報道が出ている。国内最大の「NAVER」ではじつに80本近いのニュースが報じられた。「ワールドツアーなどに積極的に出ていたグループの契約問題」と記すメディアがあるなどなど、大きな反応がある。

また日本でも国内版公式Twitterのフォロワー120万人がいるグループの報道とあって、11日の「Googleトレンド」上でこの関連ニュースが一時ベスト10入りした。

ここでは「今後どうなるか」の展望を中心に韓国メディアの報道を紹介する。

スクープした媒体は「関係者」そして「GOT7の知人」コメントを根拠に…

まずは、韓国での本件の報道がどう始まり、進んでいったかについて。

スクープたる第一報は「ディスパッチ」という媒体からだった。該当記事には1月10日の12時59分に初出があり、19時42分に最終の修正が加えられている。

【単独報道】GOT7、7人全員が各自の道…JYP再契約なしでソロの道へ(韓国語)

この媒体は先日の「愛の不時着カップルのリアル熱愛」もスクープした。韓国ではどちらかというとパパラッチ系媒体とも見られている。

11日のJYP側のリリース発表前にこういった内容を記した。

「2014年にデビュー後、7年(標準契約書上の専属契約最大有効期間)が過ぎた。’2021ゴールデンディスク’授賞式が最後のグループとしての活動だった」

いっぽう、本題である「JYPと契約延長せず」という点について、具体的な取材内容として記されたのはふたりの“匿名の関係者”からのものだった。

まずは”ある歌謡関係者”からの話。

「GOT7のメンバー同士の絆は深い。メンバーたちが自主的に集まって今後とも活動を続けていくことに対して意見を集めた。しかし所属会社からの意見がこれを分かつことになった。会社と幾度か会議を進めた結果、メンバーたちはそれぞれの道へと進んでいくことを決心した」

また”GOT7の知人”からの以下のコメントも。

「メンバーたちはGOT7への愛情が深い。個人で活動をしていっても、GOT7として集まるべき時はお互いに時間を優先的に作ろうということで合意した」

同記事は匿名のコメントを基にした報道ではあったが、「裏は取れている」という自信があったか。実際に翌11日にJYP側が公式に「契約延長なし」の事実を認めるリリースを発表したこともあり、他媒体も追随してこれを報じた。いずれもリリース内容を紹介するものにとどまったが。

有力一般紙も動向を報道。メディアの多くは「解散」の見出し

各媒体はこういった見出しを打ってニュースを報じた。

NAVER 該当ページのキャプチャ
NAVER 該当ページのキャプチャ

「スポーツ東亜」 GOT7解散、JYPと離別 

大手スポーツ紙が報じたのはもちろん、大手一般紙・経済紙もウェブ上で報じた点がGOT7の存在の大きさを感じさせた。

「朝鮮日報」 GOT7「7年ジンクス」超えられず…メンバー全員JYPと離別 

「毎日経済」 デビュー7年のGOT7、“別々・または共に”各自の道を歩む

この記事では「海外での活動が目立ったGOT7が、現在の新型コロナのパンデミックの状況でそれぞれが別の事務所に所属しながらグループとして活動するのは難しい」という韓国内の見方が紹介されている。

いっぽうで、こと芸能ニュースに関して言えば専門媒体の方が当然のごとく多くの取材時間を割いている。こういった見出しで報じた。

「スターニュース」 GOT7, 7年の峠を超えられず事実上解散…メンバーのこれからの道は?

「スタートゥデイ」 GOT7 “魔の7年”超えられず…事実上解散

多くの媒体が報じたK-POP「7年目のジンクス」とは?

メディアの多くは「解散」と断定して報じているなか、今回の報道でも各紙が使う「7年」というのは、K-POP全体の報道で出てくるキーワードだ。

韓国の芸能界では歌手が所属事務所と契約する場合、「基本的に最大7年」と定められている。厳密にいうと以下のような内容になる。契約期間は歌手側が選べるが、7年を超える場合、歌手側から契約解除を通告できるというものだ。

専属契約期間7年経過後の解除通告

 芸能企画社(事務所)と歌手の専属契約期間は歌手が自由に定めることができる

 ただし、専属契約期間が7年を超えて定められる場合、歌手は7年が経過すればいつでも専属契約の解除を芸能企画社(事務所)側に通告することができ、芸能企画社(事務所)がその通告を受けてから6ヵ月経過すれば専属契約は終了する。

 「大衆文化芸術人(歌手中心)標準専属契約書 第3条第2項」

韓国政府系の法律紹介サイトに掲載されている「マネジメントに関する付与と契約期間など」の関連法。
韓国政府系の法律紹介サイトに掲載されている「マネジメントに関する付与と契約期間など」の関連法。

かつては「社長と歌手に信頼関係があるから契約書もなかった」という時代もあった。

しかし近年になって歌手側と、デビュー時の所属事務所との契約を巡るトラブルが多く起きた。事務所側は「レッスン生時代から様々なサポートをし、育てたメンバーとともに長い期間収益を得たい」と考える。いっぽうで歌手個々人とすれば「人気や自身の関心などの状況が変化するなか、最初の契約に縛られたくない」と考える。その結果、「7年」という基準が設けられた。最近では7年を逆算してグループの戦略を組む事務所もある。

契約ルール上は「期間は自由」とあるが、どのみち7年目で一度歌手側に契約解除通告の権利があるのだから、実質上「7年ルール」だ。通常は7年目を控える段階で、歌手側・事務所側双方の申し出により話し合いが行われる。

7年目で解散となるグループが多いなか、近年では2011年デビューのガールズグループApinkが2018年にこの時点でのメンバー全員が再契約。後の日本ツアーでメンバーは「7年目を超える時はすごく苦しい時期だった」と口にしていたほどだから、その苦悩はうかがい知れる。最年長メンバーはおよそ30代前後となり、メンバーによっては別の道に進む、という希望も持ちうるからだ。

唯一”存続”を展望する記事は何を伝えたか?

ではGOT7はどうなるのか。

今回の報道で、唯一といっていいほど「現事務所離脱後もグループ存続」を打ち出したメディアがあった。

「スポーツ京郷」だ。以下の見出しと内容で記事を掲載した。すでに日本のファンのSNSでは紹介されている記事でもあるが、ここで改めて。

「JYPを離れても‘GOT7’は残る」

再契約が不発に終わり、ファンは無念の思いを表している。各メンバーたちがそれぞれ別の事務所からラブコールを受けているため、今後は完全体(7人が揃った)GOT7を見るのは難しいのではないかという点からだ。しかし、現所属の事務所を去るだけであり、解散は発表していないため、各自の新たな場所から再び“GOT7”として集まる日はが来ると期待してみることは可能だ。韓国歌謡界の代表的な長寿アイドルSHINHWAやアジアを代表するガールズグループとして愛されてきた少女時代もまたメンバーは別の事務所に所属していてもグループ名はそのままで活動を続けているためだ。

グループ名は残せるのではないか。この点について他の媒体が「GOT7の使用権は事務所に残る」とし、解散の根拠とするなか、「スポーツ京郷」は違うルールを提示。解釈を行った。

公正取引委員会が公示した大衆文化芸術人(歌手中心)の標準契約書によれば、JYPを離れても“GOT7”として集まることはできる。‘第8条(商標権など)“では、「甲(プロダクション)は契約期間の間、本名、芸名、愛称を含むすべての姓名、写真、肖像、筆跡など乙(アーティスト)の同一性(identity)を表す一切のものを使用し、詩的財産権として開発ならびに登録、利用する権利を有する。ただし契約期間終了以降はすべての権利が乙に移転する」と明示されている。

契約期間中はすべて事務所のもの。しかし契約が終われば、すべて各自のものという解釈だ。またいっぽうで、同紙はメンバー同士の結束の強さも強調。グループ存続の可能性を報じた。

GOT7のメンバーたちもまた(今回)全員の移籍説に火が付くや各自のSNSにメンバー7人がともに写る写真をアップし、#GOT7 Foreverというハッシュタグ付け加えた。熱い友情を誇っているのだ。このように所属事務所移籍を控えていても、固いチームワークを見せてきているだけに‘GOT7’として再び集まる日が来るであろう。そんな期待ができるのではないか。

グループ名の使用可否については、端的に言えば「前所属事務所との関係性」に尽きる。ガールズグループでは2009年デビュー後、2016年に全員がDSPメディアと契約更新しなかったRAINBOWが2019年に「デビュー10周年」として短期間の再結成を果たした事例がある。このとき前所属事務所は再結成時の活動資金のサポートは行わなかったものの、グループ名の使用を快諾。また自社のYoutube公式アカウントに再結成関連の動画をアップした事例もあった。

はたしてGOT7はどうなっていくか。スクープを報じた媒体は「メンバーの総意は”契約延長”だったが、事務所側の意向は違った」というもの。その後JYPはこれを否定するコメントは発表していない。また11日のJYP側のリリースではグループへの感謝とリスペクトを伝え、「解散」の言葉は使っていない。このあたりが今後を占うポイントとなりそうだ。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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