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あんスタ・キャラ画像を加工してSNSで拡散 書類送検の訳【追記あり】#専門家のまとめ

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:イメージマート)

スマホ向けのアイドル育成ゲーム「あんさんぶるスターズ!!」のキャラクター画像を加工し、SNSで拡散したとして、東京都に住む女性が著作権法違反で京都府警に書類送検されました。「推しのキャラの扱いが粗末で不満があった」などと供述し、容疑を認めています。送検の経緯を含め、理解の参考となる記事をまとめました。

ココがポイント

▼女性は昨年1月、自宅のパソコンを使い、アプリ制作会社に無断でキャラ画像に虫の画像を挿入して加工し、3回にわたって投稿していた

「あんスタ」キャラ無断加工疑い 25歳書類送検「推しの扱い粗末」(毎日新聞)

▼アプリ制作会社は「コンテンツのイメージを大きく毀損する」として、昨年6月に著作権法違反で刑事告訴していた

スマホゲーム「あんスタ」キャラにゴキブリの画像貼り付け拡散疑い 25歳会社員を書類送検(京都新聞)

▼アプリ制作会社は発信者情報の開示請求で犯人の女性を特定した上で、昨年11月には損害賠償請求訴訟も提起している

悪質行為者に対する損害賠償請求訴訟の提起について(Happy Elements)

▼他人の著作物を勝手に使用したり、複製したり、改変したりすることは著作権法で禁止されている

写真の編集、トリミングで注意すべき著作権の問題点(イノベーションズアイ BtoBビジネスメディア)

エキスパートの補足・見解

SNS上ではしばしばこうした加工画像の安易な投稿や拡散が見受けられますが、著作権侵害に当たるとして法的責任を問われる事態にもなり得るので、注意を要します。最高で懲役10年、罰金でも1000万円以下に処される重い犯罪ですし、民事の損害賠償責任も重くのしかかってきます。

特に今回のケースのように、ゴキブリの画像を使うなど、一般ユーザーに不快感や恐怖心を抱かせる悪質な加工だとして著作権者の事業運営を妨害するものであれば、彼らも強く憤り、毅然とした態度で厳正に対処し、あらゆる法的措置がとられることになります。刑事告訴されれば、警察限りで終わらず、必ず検察に事件が送付され、広く報道される展開になるということを知っておくとよいでしょう。(了)

【追記】

京都地検は6月19日付で女性を不起訴処分としました。処分の理由は明らかにしていませんが、6月14日付のアプリ制作会社のニュースリリースによれば、女性との間で損害賠償金400万円の支払などを条件とした裁判上の和解が成立したとのことです。和解条件の履行としてアプリ制作会社による告訴が取り下げられたことで、不起訴に至ったものと思われます。

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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