なぜか順序が?「テレビのネット同時配信」2019年の法改正
KNNポール神田です!
「テレビのネット同時配信」については諸手をあげて大賛成である。しかし、法改正を睨むのが、なぜかオリンピックイヤーの前年の2019年。ネットで視聴できるNHKになることによっての受信料確保という流れがわかりやすすぎる。同様に民放にも「同時配信」の参入を促すそうだ。促された民放はタダ同然に近い電波利権で莫大な電波料を得ている以上、総務省の「促し」=「勧告」には従わざるを得なくなる。この何の為に「テレビのネット同時配信」をするのかの順序が間違っている気がしてしかたがない。
ネット上での視聴率はすべて可視化されてしまう
テレビは、なぜだか21世紀になっても、ピープルメーターによる生視聴率による測定がメインだ。統計学的には正しい有意抽出法で選ばれてはいるが、原則的に日中に家にいる人に依頼がなされ了解された世帯に機器を設置されている。日中、家にいる属性の人たちは男女年齢別を問わず、日中にテレビを視聴している傾向は強くなるだろう。働いている人たちは、そもそもビデオリサーチ社の依頼を受けることが日中にできない。
ネットで放送を総務省が促すならば、ぜひ、そこにはネット視聴率ではなく、ネット視聴数を計測するべきだろう。視聴数がわかれば視聴率は参考にしかすぎない。インターネットはそれができるメディアだからだ。
視聴率よりも視聴数のほうが高ければ、テレビ局は広告主にさらなる収益を生むことができる。また、その逆もありえる。
ネットで配信する場合の権利
ネット同時配信の問題点は、スポンサー広告と出演者らの権利がある。電子書籍でも広告ページが抜けている雑誌が非常に多い。いくら電子書籍の正価で買っても、広告が抜けていたり、表紙のジャニーズタレントがすべて黒塗りになっている。そんな中途半端な商品が電子書籍で売られている。もし、テレビがネット同時配信する場合、テレビだけの権利という契約形態も十分に議論されなければならない。ネット視聴の場合、CMタイムに何も放送されなければ、離脱数をふやすばかりなのだ。せめてリプレイを流し続けるなどの努力が必要だ。一番簡単なのは、地上波の放送とまったく同じものをタレ流すことだ。そのためには、テレビに出るということにはネットに出ることも承認しなければならなくなるだろう。ネット対応タレントでないと扱いにくくなるからだ。
また、広告もネット用の広告料金のような枠を作るのではなく、ネットではキー局の広告も流れてしまうという認識を持ってもらうか、IPアドレスでどのキーネット局を判断するか?もしくは視聴都道府県を視聴者に選ばせても良いだろう。また、国別の対応なども辞めてしまったほうが、国力は上がるだろう。日本のコンテンツ視点で考えれば、日本語のまま世界に発信してみることの方がクールジャパンを国力へと変化させる可能性も秘めている。海外への個別の売り込みは外国語の字幕付きでライセンスすればよい。日本語の文化圏をテレビをネットで同時配信することによって、この島国の多彩な表現力を日本語で見たい人はそれだけたくさん見ればよい。24時間これだけのクオリティで、放送しつづけている国は日本以外にないだろう。
国家としての「テレビのネット同時配信」のあり方を!
オリンピックまでにNHKのネット受信料をという視点ではなく、経産省や文科省、外務省らからも日本の国力としてのテレビのありかたを「テレビのネット同時配信」をテーマに戦略的にかんがえるべきだ。経産省は、経済効果や日本経済のプロパガンダとしての配信効果。文科省は、文化発信力、英語番組を民放が制作すれば、日本の英語教師不足を担うこともできるだろう。外務省は、日本へのグッドウィル醸成などの効果も考えられる。電波の管理監督だけではなく国家的なチャンスとして、「テレビのネット同時配信」を議論すべきだろう。