「ふくちゃん」のお姉ちゃんは「江ちゃん」。これが博多の最高峰と呼ばれる伝統のちゃん系ラーメン。
博多のちゃん系
博多のラーメンには店名に〈ちゃん〉が付くお店が多々存在します。よく〈ちゃん系〉なんて呼ぶことも多いですが、本来の〈ちゃん系〉といえば、早良区田隈の「ふくちゃんラーメン」こそだと思う。その血縁関係の直系は、田隈の「ふくちゃんラーメン」、古賀市にある「ふくちゃんラーメン英美」、そしてこの早良区原にある「江ちゃんラーメン」。これぞ博多ラーメンの最高峰〈ちゃん系ラーメン〉だと思っています。
この「江ちゃんラーメン」は、2012年の創業。ふくちゃんの大将のお姉ちゃんが営むお店。すごくカッコイイ女将さん、いや大将なんです。(ここではあえて大将と呼ばせていただきます)新横浜ラーメン博物館の〈あの銘店をもう一度〉にて、2023年に「ふくちゃんラーメン」が復活した際に店長を務めたのは有名な話。伝統の〈ちゃん系〉を受継ぐ大将の銘店がこちらなのです。
今宿新道から原通りを藤崎方面に向かう途中にあるお店は、カウンターと小さなテーブルがある昔ながらの風情あるお店。開店前から行列ができる人気店です。
ワンタンメン
やはり伝統のラーメンといえばワンタンメン。これは必ず食べたい。茶褐色のスープの表面には脂がうっすらと浮かび、豚骨の香りも良い綺麗な仕上がりです。隠れていますがチャーシューとネギ、そして真ん中にはたっぷりのワンタンが浮かびます。
並々に注がれたスープは最後まで熱々にいただけます。一口目はあっさりなのですが、だんだんとコク深さを感じていく。強すぎない塩味のカエシも絶妙で、ラード感も良く絡みます。このスープに浸されたワンタンは、トルゥンとした食感に餡がジュワっと、スープの味と共に口の中に広がります。これが美味い。
中太くらいのストレート麺が、ツルっとしたコシのある食感で味わいが良い。低加水の麺はスープを絡めながら絶妙な味わいで、このバランスもまた伝統のちゃん系。この味わいは他ではなかなか味わえません。
ラーメン
こちらはノーマルのラーメン。チャーシューが2枚とネギが浮かぶ昔ながらのシンプルな一杯。臭みなど全くなく、そして濃すぎず、なのに味はしっかりしていて奥深い。昔ながらの博多ラーメンだと思いますが、その歴史を作ってきた味ですからそう感じるのは当然ですね。
バリっと効いた表面のラード感が熱を逃がさない。決して塩味も強くなく、スープのコク深い味わいを熱々で最後まで楽しめる。これは長年の炊き続ける豚骨の凝縮された旨味と味わいですね。
この麺こそがまた真骨頂。大将がパンパンっと音を立てて麵上げする姿はまさに職人で、見惚れるくらいとてもカッコいい。繊細に湯切りされた麺もまた、この〈ちゃん系〉の美味しさなのです。
トッピングにいいのが〈辛しキクラゲ〉。ピリッと辛く味付けされたオリジナルのキクラゲです。結構辛さはありますが、そのままでも美味しい。
ラーメンにトッピングしたら、辛しキクラゲラーメンになります。大将が「私の漬けたキクラゲ美味しいやろ」って笑顔で声かけてくれて、それはもちろん、美味しいに決まってるではないですか。この絶妙な豚骨ラーメンに、絶妙な辛味と味のアクセントを加えてくれる絶妙なキクラゲ、最高の組み合わせです。
博多の歴史を歩み、現在も最高峰といわれるラーメン。食べればわかる、間違いなく美味い〈ちゃん系〉の直系のひとつ「江ちゃんラーメン」。味だけでなく大将の人柄も味となって伝わってくる、これぞ伝統の一杯。博多ラーメンの中で、間違いなく銘店と言っていいお店です。
江ちゃんラーメン
住所:福岡県福岡市早良区原3丁目10−16
営業時間:11時30分~20時00分
定休日:水曜日
駐車場:近隣有料