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GW限定 家庭に居場所のない『お父さんお預かりサービス』 荷物1点500円 お父さんは1時間500円

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:いらすとや

KNNポール神田です。

□最大10連休となる2019年のゴールデンウィーク(GW)。大阪メトロなんば駅に直結する難波御堂筋ホール(大阪市中央区)で、驚きのサービスが行われる。

□『お父さんお預かり』サービス

その名も「お父さん預かり」。ついにそんな扱いをされなくてはならない時代に突入したのかと思いきや、漫画喫茶もびっくりの快適空間なのだという。

出典:家庭に居場所のない父親に朗報! 衝撃の「お父さん預かり」サービス、GW限定で始まる

■ついに、大型連休の間に、家の中でゴロゴロしているお父さんが荷物同様に預けられてしまうのか…?

大阪・なんば駅直結の貸会議室「難波御堂筋ホール」(大阪市中央区難波4丁目2-1 難波御堂筋ビルディング、TEL 06-6631-8301)は、2019年4月27日~5月6日のゴールデンウィーク期間中、貸し会議室での「荷物預かりサービス」に加え「お父さん預かり」を実施している。

200平方メートルの会議室にWifi・携帯充電器貸出、ワークスペース、漫画コーナー、フットマッサージ、バランスボール、ごろごろできるマット、ドリンクバー(200円でフリードリンク)、缶ビール販売(有料)などを提供し、別室にはゴルフシミュレーション体験を設けるなど、お父さんがゆったりとくつろげる空間を提供する。

<実施期間>

2019年4月27日(土)~5月6日(月)

<利用時間>

午前9時~午後7時

<利用料金>

荷物:1点につき500円

お父さん:1時間500円/「フリータイム」1,000円

※同伴のお子様(小学生未満)1人につき300円(1時間)/600円(フリータイム)

https://www.data-max.co.jp/article/29191

https://nanbamidousujihall.com

□企画会議の際に、「家内と買い物に行っても自分の買う物がなく、待ってる時間が退屈だった」という男性に対して、「旦那さんに気を遣わずゆっくり買い物や美容院を楽しみたい」という女性の意見がありました。

□なんばは家族連れでお越しの方も多いのですが、お父さんが子供さんとゆっくり休憩できるスペースがあまりないので、特に来訪者が増えるゴールデンウイークの時期にご用意してみれば社会貢献にもなるかと思いサービス開始を決定しました。

□ネットで話題になっていますが、提供するのははあくまで「休憩スペース」です。

お母さんは休憩スペースにお父さんを預けて、ゆっくり買い物等を楽しんでください。お父さんもゆっくりしてくださいという思いで企画名をネーミングしました。

出典:GW限定で「お父さん預かり」サービス…お荷物?いえ、超快適な空間だった

■『空間(スペース)シェアリング』の新しいカタチ

米コーヒーチェーンの『スターバックス』は、かつて『サードプレイス(第三の空間)』のコンセプトで、家と職場以外の第三の場所としての価値観で、レストランの食後に無料にでてくるアメリカンコーヒーをスピンアウトさせ、単独で、有料の『喫茶店』としての価値を提供した。これは当初、レストランで無料で飲めるコーヒーをわざわざ有料で買う人はいないという米国人の習慣を大きく変えた。しかも薄い味のアメリカンコーヒーではない、イタリアンローストのエスプレッソであった。そう、スターバックスの成功は、『サードプレイス』という新たな空間の価値創造であったのだ。

関西に行くと、LCCの影響で東京よりも観光客のインバウンドの多さが目立つ。特になんば周辺はインバウンド客で大量の人手だ。そんな空間に、フリーで立ち寄れる居場所はどこにいっても満員というイメージだ。しかし、貸し会議室を連休中に借りるという発想はあまりない。また事業者も貸し会議室を大型連休中に貸せるとは思わない。

しかし、『お父さんが子供さんとゆっくり休憩できるスペース』として考えれば、まさに家族と一緒にでかけても待たされるだけのショッピングよりも会議室を利用できるのはありがたい。まさに、貸し会議室の『サードプレイス活用』なのだ。

■『サービス』を『認知』させるための『告知力』

いくら、最良のサービスの企画を生み出しても、認知させる告知力がないと、情報は広がらない。しかも、どれだけ予算をかけて、「会議室でくつろぎましょう」と広告を売っても響かないだろう。そう会議室はくつろぐ場所ではないからだ…。

しかし、ゴールデンウィーク中に家でゴロゴロしている『お父さんを預かってくれる』というサービスがあるとなると話題が変わる。まさに会議室で荷物を預るサービスをやっているところが、お父さんも預かってくれるというのだから、荷物扱いのお父さんという自虐的なネタが好きな日本人には非常にウケる。

空間シェアビジネスのサービスはたくさんあるが、サードプレイスの提供と同時に、自虐的なウケ狙いの企画で攻めるというこの方法は非常に参考になるのではないだろうか?

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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