民主党と維新の党の衆院選後の対照的な姿勢
2014年の衆院選が終わって、与党はほっと一息といったところかもしれないが、息つく暇もなく、次の激変が迫っている。党首が落選の憂き目にあった民主党は、代表選。維新の党は、橋下共同代表の代表辞任である。
民主党代表選挙の実施について(公告)
http://blogos.com/outline/101562/
橋下代表辞任:都構想集中に地元歓迎 他党は「話題作り」- 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20141224k0000m010116000c.html
民主党は、代表選も良いが、これはあくまで内輪のゲームに過ぎない。有権者の大半は、投票できないからだ。それよりも、代表選後、いち早く旗幟鮮明にできるかに注目したい。ここでいう旗幟鮮明とは、諸政策について、党内で合意を形成し、それを基軸にして、有権者に一丸となって訴求することである。民主党への合流から、随分歳月が経ったが、やはり、このあたりの脆弱さは、選挙にも影響している可能性が高い。
衆院選のマニフェストも、解散が急だったこともあるが、安倍内閣に対する否定形で書かれたものが全面に出過ぎていた。
2014年衆院選民主党マニフェスト
http://www.dpj.or.jp/global/downloads/manifesto20141202.pdf
民主党は解散前よりも議席数を伸ばしたという見方もできなくはないが、公示前には「せめて100」という見方が党内からあったことを思い出すと、やはり有権者はまだ民主党自身が思うほどには民主党に対する信頼を回復させてはいない。
民主党の議席「せめて100くらい」 枝野幹事長が目標示す
http://www.huffingtonpost.jp/2014/11/29/democratic-party-100_n_6242118.html
今回、蓮舫氏が代表選に立候補をTwitterで表明するなど、面白い動きがあることも確かで、かつて透明性の確保や事業仕分け、非営利組織活性化のために寄付税制の改革などに取り組んだ経緯もある。これまでの成果と失敗を腑分けして、再挑戦を有権者に周知できるかが問われている。言い方を変えれば、代表選を経てもなお、政策を明確に、かつ建設的なものにできなければ、さすがに有権者の失望を買うのではないか。
他方、維新の党の動きは大変興味深い。一見、話題作りのようにも見える橋下氏の代表辞任だが、もう少し意味がありそうにも見える。維新の党は、苦戦が予想されながら、公示前の42議席から、1議席減らしたに留まった。またもう1人の共同代表江田憲司氏は結いの党から合流した直後だったが、従来同様、地元神奈川8区で勝利した。さらに次世代の党が議席を大きく減らしたことなどを見ても、過激な論調が現状、有権者のポジティブな印象形成に貢献していないことも明白だ。そのなかで、過激なイメージをもつ橋下氏らが後景に退き、江田氏を全面に出すというのは、統一地方選を念頭に置くと、有権者の印象形成という点ではとても興味深い。良い意味でも、悪い意味でも、維新の党は、個々の議員の党に対するロイヤルティも高いように見える。マニフェストを見ると、改革と経済成長、行革(特に社会保障改革)を前面に出しながら、女性の活用や子育ての重視などにも気を配っている様子が伺える。
維新の党 2014年衆院選マニフェスト
https://ishinnotoh.jp/election/shugiin/201412/pdf/manifest.pdf
これはかつて、一時期の民主党も打ち出そうとしていたリベラル+経済成長の路線だが、維新の党は、本家の民主党よりも先に野党勢力結集に邁進するのかもしれない(民主党よりは行政改革・経済成長+リベラルというニュアンスではある)。内向きの民主党と、着々と対外的なアプローチを積み重ねる維新の党。異なった路線を歩もうとしているが、統一地方選もそれほど遠い未来の話ではない。