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Jサックスのニュー・ヒロインが世界の舞台でデビュー

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

●小林香織 話題のサックス・プレイヤー、 世界最大級のジャズ・フェスでも大人気!

インドネシアで世界最大規模のジャズ・フェスティヴァルが開催されていることをご存じでしょうか。東南アジアではフュージョンやコンテンポラリー・ジャズと呼ばれるエレクトリック系のジャズの人気が高く、日本のミュージシャンの人気も高いようです。

今年の「JAVA JAZZ FESTIVAL」に初参戦したのは、女性サックス奏者として活躍中の小林香織。

音楽大学を卒業した翌年にメジャー・デビューを果たしたシンデレラ・ガールで、2005年当時にボクも取材する機会があり、20代前半でつかんだチャンスに溺れることなく、しっかりと将来を見つめて音楽を語る姿が印象に残っています。

そして先日、8年ぶりに新作の取材をしました。

その模様はこちら。

傍にいることの大切さを教えてくれたR&Bに感謝|小林香織インタビュー(TOWER RECORDS ONLINE)

それにしても、このフェスティヴァルの出演者はすごいですね。

今年の同フェスティバルには小林香織の他、リー・リトナー、フォープレイ、マーカス・ミラー、ジョージ・デューク、バーシア、ジミー・クリフ錚々たるアーティスト達が参加した。

出典:小林香織 話題のサックス・プレイヤー、 世界最大級のジャズ・フェスでも大人気! |MUSUC LOUNGE

彼らと肩を並べる評価を小林香織が(少なくともアジア地域では)受けているということを、この記事は示しているわけです。

♪Kaori Kobayashi Live @ JJF2013

フェスティヴァルの模様を撮影した動画がアップされていました。彼女は、いわゆるジャズ系のビバップ的なフレーズをつなげながらメロディとコードを描いていくスタイルではなく、主旋律を“しっかりと歌い込んで表現する”ミュージシャン。だから、ソロをダーッと吹いて魅了するというタイプではないので、彼女が出した音を含めた全体の雰囲気がその場をどのように染めていくのか鑑賞するほうが適していると思います。曲が進むにつれて、聴衆の表情が徐々に変化していくようすがこの映像からも見て取れます。

小林香織の初インドネシア公演ということもあり、演奏会場には開演前から多くの観客が詰めかけ、ステージに小林香織が登場すると、大きな歓声が上がり、約1時間の熱演が繰り拡げられた。また、2月20日に発売されたニュー・アルバム『アーバン・ストリーム』に収録された新曲も日本にさきがけて演奏され、3月2日~3日の2公演で延べ5000人を越える聴衆を魅了した。

好評を博した公演の模様は新聞「JAKARTA POST」日曜版の一面でもリサ・タンフィールド、ジョス・ストーン、バーシア等とともに大きく写真入りで紹介されほど、インドネシアでの人気の高さがうかがえる。

出典:小林香織 話題のサックス・プレイヤー、 世界最大級のジャズ・フェスでも大人気! |MUSUC LOUNGE

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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