円安進行、細心の注意が必要に
ドル円が一時、153円台を付けるなど、上昇圧力が強まってきた。
ユーロ円も164円台まで上昇してきており、こちらは8月半ばに付けた163円80銭近辺を抜けてきた。ここを抜けると、7月に付けた175円台まで節目らしい節目はない。
ドル円については特に節目らしい節目はなく、こちらもチャート上からは7月につけた直近の最高値となる161円94銭あたりが視野に入る。
ここにきての円安の動きの背景には、FRBの利下げ観測の後退による米長期金利の上昇がある。米長期金利は4.2%台に上昇し、7月に付けた4.28%あたりが次の目処となる。
米長期金利の上昇を受けて、ドイツなど欧州の長期金利も上昇してきている。22日にドイツの10年債利回りは2.3%台と8月上旬以来の水準をつけた。
米長期金利の上昇の背景には米大統領選も影響している可能性がある。その結果はどうあれ、財政出動が行われることが予想され、先行きの米国債の需給悪化も意識されている可能性もある。
中東情勢を睨んで原油価格がここにきて底堅い動きともなっており、物価が高止まりする可能性も意識されている可能性もある。
円安の背景には、このように欧米の長期金利の上昇がある。
日銀の追加利上げ観測も強まっているが、10月の会合では利上げは見送られる予想となるなど、慎重姿勢にみえることで日本の国債利回りの上昇は抑制されている。これも円安のひとつの要因となっていよう。
さらに衆院選の行方も混沌としており、こちらも不安要因として円安の要因となっている可能性がある。
日米の金融政策の方向性を意識すれば、ドル円が再び160円台を回復することは考えづらかった。しかし、チャート上からはその可能性も意識される。こちらもあとから材料が付いてくる可能性もあるため、細心の注意が必要となりそうだ。