異色のドラフト1位・村上泰斗は「流されない」。早くものぞかせるプロの資質【ソフトバンク】
ソフトバンクの新人合同自主トレがHAWKSベースボールパーク筑後で始まっている。
ドラフト1位入団の最速152キロ右腕、村上泰斗投手(18歳、神戸弘陵高校)に自主トレ2日目だった8日の練習後に声をかけると「徐々に(体の)張りは出てきたかなと思いますけど、まだまだ行けます」と余裕たっぷりの顔で語った。
まだ慣らし運転の第1クールだ。とはいえ、新たな環境に身を置く緊張感で体もそうだが気持ちのほうがバテてしまう新人も毎年少なくない。ただ村上は「流されないというか、マイペースな方だと思います。周りからも言われていました」と笑い飛ばした。プロの世界で大切な強心臓という資質を持ち合わせているようだ。
この日は初めて屋外でキャッチボールを行った。「ただ、(前日の)初日が強めに投げたので、この日は弱めに投げるように指示がありました。練習の中で言われることや意識をする部分は、やっぱり高校までの野球とプロでは違うなと感じるところがあります」。また、韓国では“野神(「野球の神」の意)”の異名を取り、ソフトバンクで2022年まで監督付アドバイザーを務めた金星根(キム・ソングン)氏が訪れており金言を授かった。
「前日の城島(健司=球団CBO)も仰っていたように、自分は自分次第、他に頼らないという話をしていただきました。当たり前のことなんですけど、なかなかできないことも多い。自主練でもシーズンでも『自分を持つ』という意識を忘れずにやっていきたいです」
新人合同自主トレは今月29日まで行われ、その後すぐに春季キャンプに突入する。ソフトバンクは今季も宮崎と筑後の分離制。A組からC組のうち、宮崎に行けるのはB組までの選手だ。昨年のドラフト1位ルーキーだった前田悠伍投手はB組で宮崎行きを果たしているが、村上は「僕はそこまで宮崎行きにこだわってない。自分のペースで。そんなに焦ることはないと思っています。ブルペンも1月は入らないつもりですし」と落ち着いた表情で話した。
中学までは捕手で本格的な投手転向は高校入学後だった。マウンド歴2年半かつ甲子園経験もない超素材型ながら「ドラフト1位」の評価は異色に映るが、スカウトが見抜いたのは技術面だけではなさそうだ。
村上泰斗(むらかみ・たいと)
投手。背番号20。兵庫県出身。2007年2月20日生まれ。猪名川町立白金小学校(白金メッツ)~猪名川町立猪名川中学校(大阪箕面ボーイズ)~神戸弘陵高校。右投右打。180cm、74kg。
稲嶺誉スカウト評「中学時代は控え捕手も高校入学後本格的に投手に転向した最速152キロ右腕。スピンの効いたキレのあるストレートが魅力で多彩な変化球を操りピッチトンネルできる投球は魅力」
性格は負けず嫌いで向上心が高い。特技はカラオケ。好きな食べ物はラーメンとお寿司。嫌いな食べ物はさといも。趣味などは、旧車のYouTubeを見ること