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五郎丸歩が見たいまの日本代表。「フィジカルを逃げていたらラグビーはできない」【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
今季は所属のヤマハで正フルバックとしてプレー。(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 2019年のワールドカップ日本大会を2年後に控えるラグビー日本代表は10月28日、福岡・レベルファイブスタジアムでJAPAN XVという名で世界選抜と対戦。27―47で敗れた。世界選抜のフルバックだった五郎丸歩が実感を明かした。

 五郎丸はこの日のJAPAN XVのキャプテンだったリーチ マイケルらと、2年前のラグビーワールドカップイングランド大会で歴史的3勝を挙げた。2016年からはオーストラリア、フランスなどでプレーし、今年7月から国内のトップリーグに復帰していた。

 この日は試合後、報道陣の質問に答える形で日本代表へエールを送る。自身と同じフルバックでプレーする東海大学の野口竜司に関する話題に触れた際、「野口君に限らず」とフィジカル強化の重要性も訴えた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――試合を終えて。

「世界選抜が力を出し切った結果になった。満足しています」

――日本代表についても伺います。いまのチームは、ジョン・プラムツリー新ディフェンスコーチのもと新たなシステムに取り組んでいます。

「新しいことにチャレンジしている途中だと思う。(プラムツリー新コーチは)今週、来られたんですよね? (新システムは)まだやり始めたばかりで、1週間で完成するわけではない。ただ、チームが何を信じられるのか、というところに尽きると思います。

 前半のところでは出足も早く、非常にいいディフェンスをされた。そこに経験値のある世界選抜が対応し、後半はこういう結果になった。(前半の世界選抜は)キックオフのレシーブを蹴り返す部分が多かったのですが、後半は(その位置からボールを回すことに)チャレンジして、外を攻めたりもした。色々なオプションを使えて、非常に楽しめました」

――相手には、かつてともにプレーした選手が多かった。

「やりづらさはありますね。自分のいいところも悪いところも知られているし」

――あえて日本代表の課題を挙げるとすれば。

「僕は指導者ではなく、それを言う立場ではない。控えておきます」

――逆に、プレーしていて印象に残った選手は。

「レメキは力強いランナーですし、彼にいかにいい状態でパスを回すかが日本代表の強みになっていくとも思います」

――自身の対面にあたる野口選手はいかがですか。

「スキルは十二分に持ち合わせています。あとは今後、世界のトップで戦えるだけのフィジカルをつける必要があると思います。それは野口君だけじゃなく、若くして入ってきた選手は、インターナショナルレベルが何かをわからないまま入ってきている。その意味では、若い選手にとってきょうはいいゲームになったと思います」

――やはり、フィジカル強化からは逃げられない。

「フィジカルから逃げていたらラグビーはできないので。きょうも、後半にあれだけの点差(14-33)がついたのはフィジカルの差が現れた結果だと思います」

 身長185センチ、体重100キロの五郎丸は、2015年までの4年間、エディー・ジョーンズ前ヘッドコーチ体制下で猛鍛錬を遂行。ジョーンズの右腕だったジョン・プライヤーストレングス&コンディショニングコーディネーターに追い込まれながら、走り合いで優位に立てるフィットネス(持久力)、屈強なフィジカルを作り上げてきた。若手選手に肉体強化のすすめを訴えるのは、自然な流れかもしれない。

 就任して1年が過ぎた日本代表(この日はJAPAN XV)のジェイミー・ジョセフヘッドコーチは、世界選抜のメンバーを「勝つプレッシャーがかかっていないなか、リラックスしてプレーできた」という表現で評価する。ファン待望の五郎丸の代表復帰について、言及はない。とはいえこの日の五郎丸はハイボールの競り合いなどで安定感を披露。元オーストラリア代表のベリック・バーンズら名手と競演するなか、「自分の力を出せた」という。

 自国開催のワールドカップまで、あと2年足らず。五郎丸と対峙した若手の代表候補は、この先いかにレベルアップするか。

 なお、五郎丸が名前を挙げたレメキは、トンガの血を持つニュージーランド出身の日本人。7人制日本代表としてリオデジャネイロ五輪4位入賞を果たした28歳だ。同じウイングの山田章仁は29日に故障離脱したとあって、さらに期待は高まるだろう。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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