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NY金17日:反落も、FOMC後は金利予想引き下げで買い優勢に

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金8月限 前日比比4.10ドル安

始値 1,181.10ドル

高値 1,181.70ドル

安値 1,173.90ドル

終値 1,176.80ドル

引け後に米連邦公開市場委員会(FOMC)声明の発表を控える中、やや調整売りが優勢の展開になった。

イベントリスクから積極的に仕掛けるような動きは見られなかったが、アジアタイムから為替がドル高気味に推移したことが嫌気され、金相場は上値の重い展開に。ただ、ニューヨークタイムは1,175ドル水準で下げ一服となり、大きな値動きには発展しなかった。ギリシャ情勢の先行き不透明感とそれに伴うユーロ安(ドル高)との間で、綱引き気味の値動きに留まった。

ただ、引け後はFOMCを受けて買いが膨らみ、1,185ドル水準までの切り返しを見せている。FOMCの景況判断に関しては、「経済活動は1~3月期にほぼ横ばい状態だった後に緩やかに拡大したことが示唆された」、「労働力の活用不足の状態が幾らか解消したことを示唆」など、全体として強気の文言が目立った。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は利上げ判断の「決定的な証拠を待っている」と発言しているが、9月利上げ着手の可能性も十分に想定できる状況になっている。

しかし、今回はFOMCメンバーの経済予測において、将来のFF金利見通しが3月時点との比較で引き下げられたことが、ドル相場にネガティブ、金相場にポジティブと評価されている。15年末に関しては、3月時点の0.625%から修正が行われなかったが、16年末に関しては3月時点の1.875%から1.6254%まで下方修正されている。また、17年末についても3月末の3.125%から2.875%までの下方修正となる。これは、年内利上げに向けての進展は着実に続いているが、その後の第二、第三の利上げ着手に関しては、ペースダウンが必要と考えている当局者が増えていることを示唆している。ドルの通貨価値回復ペースが従来想定よりも遅れるとの見方から、引け後はドルが売られる一方、金が買い戻されている。

FOMC全体としては「ややハト派」との評価になろうが、これによって改めて金相場を本格的に買い進むまでの必要性は見出せない。金価格に対しては、ダウントレンドのペースダウンを迫るか否かというイベントに過ぎず、引き続き戻り局面は売り場になる可能性が高い。チャート上では、1,200ドルの節目前後に長期移動平均線が集中しており、同水準を戻り目処に下値切り下げを打診する展開が維持されるとみている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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