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イラク情勢の展望

高橋和夫国際政治学者/先端技術安全保障研究所会長

とりあえずの関心事は軍事情勢である。どこまでISIS(イラクとシャームのイスラム国)が支配地域を広げるかである。この組織は名前の通り、イラクと東地中海に面したアラブ地域における「イスラム」体制の樹立を目指している。焦点は、どこまで南下するのか、できるのかであろう。現在バグダッドの北方に位置するバクーバやサマッラ―での戦闘が伝えられている。破竹の勢いでモスルなどスンニー派の多い地域を制圧したISISではあるが、南部に行けば行くほどシーアの人口密度が高くなる。したがって進撃は停滞が予測される。事実、バクーバもサマッラーも依然として陥落していない。これは、シーア派の防衛努力の成功を意味するのであろうか。あるいは、そもそもISISは、南部に本格的に侵攻する意図はもっていなかったのだろうか。陽動作戦だったのだろうか。いずれにしろ、南部にマリキ政権が兵力を集中している隙に、ISISが西部の国境地帯の都市を次々に手中に収めた。

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国際政治学者/先端技術安全保障研究所会長

国際情勢をわかる言葉で、まず自分自身に語りたいと思っています。北九州で生まれ育ち、大阪とニューヨークで勉強し、クウェートでの滞在経験もあります。アメリカで中東を研究した日本人という三つの視点を大切にしています。映像メディアに深い不信感を抱きながらも、放送大学ではテレビで講義をするという矛盾した存在です。及ばないながらも努力を続け、その過程を読者の皆様と共有できればと希求しています。

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