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「ジョーカー2」、なぜ賛否両論? 日本でのヒットは? #専門家のまとめ

斉藤博昭映画ジャーナリスト
『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』より

日本でも10/11(金)から公開が始まった『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(以下、『ジョーカー2』)。2024年の映画の中でも、早くから最も注目を集めていたのは、5年前(2019年)の前作『ジョーカー』が、日本でも社会現象と呼べるヒットを記録したからだ。DCのヴィランとして知られる超有名キャラクターを題材に、アーサー・フレックという追い詰められた男が衝撃の殺人を遂行し、一方で彼を“ジョーカー”と信奉する人々が多数現れた前作。州立病院に収容されたアーサーの、その後の運命を描いた『ジョーカー2』は、前作でオスカー受賞のホアキン・フェニックスと、新たに加わったレディー・ガガの共演も含め、期待ポイントが多かった分、ヴェネチア国際映画祭でのお披露目、全米での公開では賛否両論の渦となっている。はたして日本ではどう受け止められるのか。

ココがポイント

まさに賛否は真っ二つ。衝撃作となった前作から進化した続編の野心を評価する声がある一方で、厳しい意見も飛んでいる。
出典:THE RIVER 2024/9/5(木)

フィリップス監督は想定内だったよう。「この作品を見た人は、とても気に入ってくれるか、つまらないと感じると思います」
出典:クランクイン! 2024/10/6(日)

本作が期待通りのヒットとならなかったことを、メディアやジャーナリスト、読者が喜んでいるかのようでさえある。
出典:Real Sound 2024/10/7(月)

(前作の場合)賛否両論がいい方向へ機能。(中略)「日本では好意的なリアクションが圧倒的に多い」
出典:Yahoo!ニュース エキスパート 2019/10/16(水)

エキスパートの補足・見解

日本よりも一週間早く公開が始まった北米で、『ジョーカー2』はオープニングの週末興収ランキングで堂々の1位を獲得。ただ、その数字は4000万ドルで、前作の数字、9620万ドルに遠く及ばなかった。続編は製作費も増加(5500万ドル→約2億ドル)していたので、たしかに残念だと言っていい。やはりヴェネチア後の賛否両論のレビューが影響したのだろうが、冷静に考えれば、賛否両論のわりに4000万ドル稼いだわけで、やはり人々の「どんなものか観たい」欲求を刺激しているのは間違いない。問題は2週目以降の数字の落ち方だろう。

基本的に「賛否両論」と騒がれる作品は、賛否真っ二つというより、「否」の意見が多いから、そのように表現されることが多い。10/11から公開が始まった日本で、観客のレビューも上がり始めたが、「こういうものを観たいわけじゃなかった」という否定派と、「いい意味で期待を裏切ってくれた」という賛成派に、わりとくっきり、現段階では分かれている印象。ポイントのひとつは、ミュージカルのスタイルだったりする。

しかし、ある意味で賛否両論だった1作目も思わぬ観客層へと広がっていっただけに、日本の観客が『ジョーカー2』をどう受け入れるかは興味深いところ。「賛否ある作品」というフレーズに、どこまで“引き”があるか……。とりあえず連休の週末は、上映館での席がかなり埋まっている。

最後に筆者の『ジョーカー2』への評価だが、「こういうスタイルも良い」という意味で満点である。

画像:(c) & TM DC (c) 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

映画ジャーナリスト

1997年にフリーとなり、映画専門のライター、インタビュアーとして活躍。おもな執筆媒体は、シネマトゥデイ、Safari、スクリーン、キネマ旬報、VOGUE、シネコンウォーカー、MOVIE WALKER PRESS、スカパー!、GQ JAPAN、 CINEMORE、BANGER!!!、劇場用パンフレットなど。日本映画ペンクラブ会員。全米の映画賞、クリティックス・チョイス・アワード(CCA)に投票する同会員。コロンビアのカルタヘナ国際映画祭、釜山国際映画祭では審査員も経験。「リリーのすべて」(早川書房刊)など翻訳も手がける。連絡先 irishgreenday@gmail.com

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