突如、緩和修正した植田日銀=今後の政策対応は?
植田和男総裁率いる日銀は7月28日の金融政策決定会合で、大規模緩和の修正に踏み切りました。それまで市場関係者の間では「大規模緩和を堅持し、従来のハト派姿勢は揺るがない」(大手邦銀)との見方が支配的でした。なぜ、突如として緩和修正したのか。前回のまとめで、円安進行を受けた緩和修正の可能性を紹介しましたが、実際に円安対応の色彩が強い政策対応でした。ただ、それで為替が安定するかは予断を許しません。日銀の姿勢変化と今後の政策対等を改めてまとめてみます。
▼一時、修正観測が浮上したものの、会合前の大勢はなお現状維持を予想
▼会見で緩和修正が為替(円安)配慮だと認めた植田総裁
▼そして、日銀の内田真一副総裁は講演で公式に「為替市場」配慮を認める
▼今後、円売りが勢いを増すとマイナス金利も解除される可能性も
日銀法では、金融政策の目的は「物価の安定」となっています。この定義には、為替は入っておらず、金融政策が為替動向に直接的に対応することは想定されていません。為替配慮の場合、為替の変動が経済・物価に影響する、というマクロ的な判断を伴う必要があります。この点に照らすと、植田日銀の今回の修正は、かなり直接的な為替配慮の色彩が強いと言えます。これは、今後の金融政策が円安投機に翻弄されやすく、舵取りが極めて難しくなることを示唆すると考えられます。
【この記事は、Yahoo!ニュース エキスパート オーサー編集部とオーサーが共同で企画したキュレーション記事です。キュレーション記事は、ひとつのテーマに関連する複数の記事をオーサーが選び、まとめたものです】