【京都市】京都市内の各神社で夏越の祓 京都最大級直径5メートルの大茅の輪も登場! 牛頭天王伝承とは?
京都市内の各神社に芽の輪が登場しています。 北野天満宮や伏見稲荷神社などでは京都最大級の5mの大茅の輪も登場。2023年6月9日も、訪れた観光客や修学旅行生などが茅の輪くぐりをしている姿が見られました。
茅の輪とは、毎年1年の半分にあたる6月30日の夏越祓(なごしのはらえ)の際に、神社の参道に設ける、チガヤで作った輪のことです。これを作法どおりにくぐると残りの半年、穢れが払われ、無病息災でいられると言います。昔の人が節気といって、暦の節目を重要視した名残でもあります。
そしてこの厄除けの茅の輪には伝承があります。奈良時代初期に編纂されたとされる「備後国風土記」には、牛頭天王の神話ともつながる伝承「蘇民将来(そみんしょうらい)」が残されています。諸説ありますが、ある時、牛頭天王が嫁探しの旅の途中で一晩の宿を借りようとしたところ、裕福な巨旦将来は断り、その巨旦の兄の蘇民将来は、貧しいながらも粟で作った食事で精一杯もてなしました。
感銘を受けた牛頭天王は、蘇民将来の娘に対し、茅の輪をつくって、赤絹の房を下げ、「蘇民将来之子孫也」(そみんしょうらいのしそんなり)との護符を付ければ、末代までも災難を逃れることができると教えたとあります。その後、茅の輪をつけていない巨旦将来の一族は滅んでしまいましたが、蘇民将来の一族は末代まで安泰であったと伝承されています。
現在の祇園祭は、この神話に基づく、疫病退散の御霊会から始まりました。明治維新以降に廃仏毀釈、神仏分離が国策としてなされるまでは、日本は神仏習合となっていました。牛頭天王がスサノオノミコトとされたのは、それ以後のことです。
さて、その夏越祓の時期には、京都の各和菓子屋さんで水無月が販売されます。これは、かつてこの時期に高貴な人々は氷室に蓄えられた氷を食べて涼をとっていましたが、庶民には手に入らなかったため、白の外郎生地に小豆をのせ、三角形に切った菓子を代わりに食べたためです。小豆は悪魔払いの意味があり、三角の形は暑気を払う氷を表しているといわれています。
八坂神社は6月15日から、京都えびす神社は6月28日から、安井金毘羅宮は6月26日から茅の輪が設置される予定とのことでした。夏越の祓が終わると、いよいよ7月1日からは祇園祭の神事が始まります。
八坂神社(外部リンク)京都市東山区祇園町北側625 075-561-6155