五輪王手の入江聖奈「オリンピックはずっと目標にしていた絶対に行きたい場所」
ボクシングの東京五輪出場をかけたアジア・オセアニア予選が、ヨルダンの首都アンマンで開催されている。
日本選手団の男子6名、女子5名が3日から初戦を迎えたが、現在(8日)まで勝ち残っているのは女子2名。厳しい結果となっている。
その中でも奮闘を見せるのが、女子フェザー級(57kg)代表の入江聖奈(日体大)だ。
9日に準々決勝が行われ、勝利すれば東京五輪出場が決定する。
予選に向けて、合宿でトレーニングに励む入江に単独インタビューした。
チームメイトはライバル
ーーーボクシングを始めたきっかけはなんですか。
入江:ボクシング漫画の『がんばれ元気』に影響を受けて始めました。
登場人物がチャンピオンベルトを巻いている姿に憧れました。
ーーーこれまでのボクシング経歴を教えてください。
入江:小中学生のアンダージュニア(高校生以下の大会)は無敗で、高校1年生のインターハイで初めて並木月海さん(フライ級代表)に負けました。
その後、高1の全日本で優勝。その次の選抜で濱本紗也さん(ライト級代表)に負けて、高2、高3はたぶん国内では負けていません。
ーーーでは、今一緒に練習しているチームメイトはライバル関係でもあるのですね。
入江:そうですね。公式戦もしました。
ーーーリベンジしたいですか。
入江:濱本さんには今年の大学のトーナメントでリベンジを果たせましたが、並木さんにはまだ果たせていないので、今もメラメラしています。
ーーー年齢も近いですよね。
入江:濱本さんが1歳上で、並木さんが2歳上です。
あだ名はイリエワニ
ーーーファイティングネームはありますか。
入江:名前にちなんで地元の会長からは「イリエワニ」と言われています。
ーーーイリエワニ?
入江:はい。イリエワニというすごく凶暴なワニがいまして、それにあやかって「お前も凶暴になれ」と言われました(笑)
ーーー凶暴ですか(笑)入江選手の強みはどういうところにありますか。
入江:調子が良かったら相手にどんどんプレッシャーをかけていけるところと、コーチ陣からは「左がいい」と言われました。
ーーー僕も練習を見学させてもらって、ボディが上手い印象を受けました。
入江:春まで全然打てなかったのです。頑張って練習して少しずつ打てるようになってきました。
ーーーボクシングの魅力はどういうところにありますか。
入江:自分の強さをすごくアピールできる場所です。アーデーシンに勝った時などは、みんなから褒めてもらえるのがすごく嬉しかったです。
涙の初黒星
ーーー今まで挫折や苦労はありましたか。
入江:最初に思い浮かぶのは並木さんとの試合での初黒星ですね。本当に悔しくて、最初の挫折です。
ーーー並木さんは強いですか。
入江:強いですね。試合前から強いと聞いていましたが、想像以上でした。今でも尊敬しています。
ーーーボクシング以外に、好きなことやはまっていることはありますか。
入江:好きな生き物はカエルです。カエルの育成ゲームをしています。
ーーーそんなゲームがあるのですか。
入江:はい。よくゲームをしています。あとはYouTubeを見たり。
目標は金メダル
ーーー世界王者のリン・ユーティン選手とスパーリングをしたと聞きました。この間のカザフスタンの合宿も含めて、世界と今の自分の差というか。
入江:世界選手権で感じたのは、フェザー級は、飛び抜けて強い人というより、リンさん以外は皆同じレベルにいると感じました。
なので、世界チャンピオンになるためには、もう1つ抜けていく必要があります。
ーーーなるほど。まずはアジア・オセアニア予選ですね。
入江:はい。2020年五輪開催国の発表で「Tokyo」と聞いた時から、ずっと目標にしていました。絶対に行きたい場所です。
予選で出場枠を自力で勝ち取り、オリンピックに出場して金メダルを獲りたいです。
入江聖奈(いりえ・せな)
2000年生まれ。鳥取県米子市出身。
小学2年生からシュガーナックルボクシングジムでボクシングを始める。
高校1年時に全日本選手権で優勝を果たし、日本体育大学へ進学。
2018年の世界ユース選手権で銅メダル獲得、2019年の世界選手権ではベスト8。