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急な激しい雨から身を守ろう

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
ゴロゴロと聞こえたら、雷雲は10キロ以内に近づいている(写真:アフロ)

激しい雷雨はわずか30分でやってくる。雷の音が聞こえたら、すぐに建物や車に避難しよう。川の水遊びやキャンプは上流の雷雨に注意。夏休みのお出かけは天気予報を必ず確認する。

嵐は突然に

 先日(18日)、東京都心を襲った激しい雷雨。突然、ものすごい風が吹き、激しい雨とともに大粒のひょうが降りました。わずか数10分のできごとです。

 狭い範囲に集中する激しい雨ほど短時間に起こります。空模様の変化に気づくのが遅くなり、ヒヤリとした経験をお持ちの方も多いでしょう。これからの夏休み、天気の急な変化から身を守る方法をまとめてみました。

カリフラワーのような雲は雷雨の兆し

発達した積乱雲の下では激しい雨、ひょう、落雷、突風が起こる(模式図)
発達した積乱雲の下では激しい雨、ひょう、落雷、突風が起こる(模式図)

 激しい雷雨をもたらす雲は「積乱雲」といって、とても背が高い雲です。見た目はもくもくとしたカリフラワーのような雲で、夏にはおなじみの雲です。午前中から、このカリフラワーのような雲を見かけたら、午後は雷雨になる可能性が高いでしょう。

 雲の成長はとても早く、わずか30分程度で雨が降ってきます。ゴロゴロという雷の音が聞こえたら、もう雷雲の下にいると思ってください。

 さっきまで晴れていたのに、急にくもってきた、風が吹いてきたら、天気が崩れるサインです。まだ雨が降っていなくても、川や海岸から離れて、近くの建物や車の中に入りましょう。木の下で雨宿りするのは危険です。雷が木を伝わり、人の体に飛び移ることがあります。

 また、車を運転していたら、道路の冠水に注意し、くぐり抜け式の道路(アンダーパス)を避けましょう。

上流の雷雨に注意

 川の上流で激しい雨が降ると、急に水かさが増すことがあります。

2008年7月28日、兵庫県神戸市の都賀川で、子ども5人が増水した川に流された痛ましい事故がありました。上流で降った雨により、わずか10分間で水位が1メートル30センチも増えたのです。

出かけるときは天気予報を必ずチェックしよう

「大気の状態が不安定となるでしょう」このフレーズを聞いたら、雷雨がとても起こりやすい日です。出かけるときに晴れていても、油断は禁物です。

 こちらは7月22日の関東地方の雲の様子を見たものです。

気象衛星ひまわり8号からみた積乱雲が発生するまで(上:午前11時,下:午後3時)
気象衛星ひまわり8号からみた積乱雲が発生するまで(上:午前11時,下:午後3時)

午前11時(上)は目立った雲はありませんが、午後3時(下)になると山沿いに多数の雲が発生しています。この雲の下では激しい雷雨になりました。

屋外では天気の変化に気がつくのが遅くなりがちです。1時間に一度程度、スマートフォンなどで気象情報にアクセスし、雨雲の状況を確認しましょう。

 少しでも早く天気の変化に気づき、雨や雷がひどくなる前に、安全な場所へ避難する。家族みんなで約束を守り、安全で楽しい夏休みを過ごしてください。

【参考資料】

気象庁ホームページ:急な大雨や雷・竜巻から身を守るために

リーフレット「急な大雨・雷・竜巻から身を守ろう!」

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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