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【続報】次のNATO会議で、ウクライナでの「NATO平和ミッション・平和維持部隊」を議論か

今井佐緒里欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者

現在、ポーランド、チェコ、スロベニアの3カ国の首脳陣が、ウクライナの首都キエフ(キーウ)を訪問、ゼレンスキー大統領と会談している。

ここでポーランドのカジンスキー副首相から、北大西洋条約機構(NATO)がウクライナに「平和ミッション」を派遣するという案が出された。

この内容は、3月24日に予定されているNATO会議で議題となる可能性が出てきた。

先週の金曜日、フランスのベルサイユ宮殿で、EUの首脳会議が行われた。そのあと、今週の動きは慌ただしい。

◎ポーランド、チェコ、スロベニアの3カ国の首脳陣が、列車でウクライナを訪問(スロバキアとウクライナを結ぶ列車か?)。戦争が始まってから初めての首脳級の訪問だった。この訪問は、金曜日のEU会合で決められたものだ。

EUが課した公式の任務というわけではないが、有効なイニシアチブとEU側は説明しているという。

◎ロンドンでは、NATO内のイニシアチブで、北欧の安全保障に関する10カ国連合の「合同遠征軍」会議が開催された。スウェーデンやフィンランドなど、EUには入っているがNATOには入っておらず、NATO加盟を目指す機運が大きくなっている中での会議だ。

◎NATOの緊急会議が24日、本部のあるブリュッセルで開かれることが発表された。閣僚ではなく首脳会合で、バイデン大統領も出席すると報じられた。

◎ゼレンスキー大統領が、ウクライナのNATO加盟はないという現実を受け入れなければいけない、という発言をする。

◎ウクライナとロシアの代表団は、14日月曜日に交流を開始、今日16日水曜日には、再び会合を開き、停戦、あるいは少なくとも持続可能な人道的回廊の確立を可能にする妥協案に到達しようとする予定である。

ゼレンスキー大統領は15日火曜日の夜、ロシアの要求が「より現実的に」なってきていると述べた。しかし一方で、同大統領の顧問は、この交渉には「根本的な矛盾」があると述べ、ロシアの爆撃は続いていると述べた。「努力と忍耐が必要です。すべての戦争は合意によって終わる」とゼレンスキー大統領は結論づけている。

このような流れの中で、フランスの『ル・モンド』等のメディアは「NATO会議では、ウクライナでの平和ミッション、平和維持部隊について話される可能性がある」と報じている。もともと欧州ではマクロン大統領がイニシアチブを取っているので、この見立てはおそらく正しいと思われる。

停戦の条件として、ウクライナがNATOに加盟しない確約などを行う可能性もある。そのような場合、中立化の話が出るのかどうかは、注目に値する。

参考記事:欧州はウクライナを中立化させる?「フィンランド化」とは何か【2】EUからみたウクライナ危機

ロシアが化学兵器を使うのではという恐れが膨らむ中、早急な対処が求められる。

ただ、今後の行く末はまだわからない。

ロシアとウクライナの会合でも、ロシア側は「キエフが相互に受け入れ可能な解決策を見出す真剣な姿勢を示さなかったと強調した」と声明で述べている。EUのミシェル欧州理事会議長との会談後に発表された内容である。

また、NATOは、一層の防衛強化を計画している。

ストルテンベルグ事務総長は昨日15日に「この新しい現実に直面して、われわれは軍事態勢を見直す必要がある」と述べた。これは本日16日の会議に先立って述べられた。

内容は、NATOの閣僚たちは、東欧の軍隊とミサイル防衛を強化するための計画の策定を行うことを、同盟軍の司令官たちに課すというものだ。

平和への対策は進むのか、注視が必要だ。

※今、速報が入ってきました。別記事で書きます。

欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者

フランス・パリ在住。追求するテーマは異文明の出会い、平等と自由。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。元大使のインタビュー記事も担当(〜18年)。編著「ニッポンの評判 世界17カ国レポート」新潮社、欧州の章編著「世界で広がる脱原発」宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省機関の仕事を行う(2015年〜)。出版社の編集者出身。 早稲田大学卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

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