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ポケモンGO、まだやっているのは”おじさん”と”女子”だけ?

五百田達成作家・心理カウンセラー
(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

アメリカでの配信を皮切りに今や世界的な大ヒットとなっているポケモンGO。ポケモン発祥の地、ここ日本でも2016年7月に満を持して配信が開始され、ニュースでも連日報道されるほどの社会現象となりました。

街中に人があふれ、そこかしこを徘徊してはポケモン採集に明け暮れていたほどの熱狂は、一段落ついた様子ですが、いまだ多くのユーザーによってプレイされていて、その総課金額はこれまで配信されたすべての課金ゲームの課金額に匹敵するという報道もありました。

ポケモンGO、まだやってるの?

さて、身のまわりのユーザーから話を聞いていると、開始からふた月たった今、ポケモンGOのリアルなユーザー像に大きな変化が起きていることが分かってきました。それはひと言で言うなら、「”まだやってる”人が、意外に多い」というものです。

元祖ポケモンをプレイしていた人は飽きている

1996年にゲームボーイのソフトとして発売され、その後複数のシリーズ作品を生み出してきたポケットモンスター。

これらを熱心にプレイし、ポケモンの収集、育成、交換、バトルに明け暮れてきた元祖ユーザーたちの話を聞くと、ポケモンGOは懐かしさこそあれ、なんとなく「これじゃない感」が否めないのだとか。

これらのユーザーは配信開始と同時にアプリをインストールし、我先にと街中へと飛び出していった先駆的ポケモントレーナーですが、実際にプレイをしてみて「あ、こういう感じかー」と失望。現在ではアンインストールすることはないにせよ細々とプレイをするユーザーが多いという印象です。

スマホゲームをやりこんできた人も飽きている

また、これまでツムツムやパズドラといったスマホゲームに勤しんできたユーザーにも飽きが見られます。

課金と「やり込み」によってゲームに深くのめり込む要素がある他のゲームに比べ、極度な課金を意図的に抑え、しかも実際にプレーヤーが歩きながら、少しずつのんびりとゲームを進めるポケモンGOには、のめり込めない。中毒性を感じない。

結果として、ユーザーは次第に元々ハマっていたゲームに戻っている傾向があるようです。

結局残ったのは、おじさんと女子

では、みんなが飽きてしまったのか。ポケモンGOはもう下火なのか。

開始からふた月たった今でも、毎日楽しく一喜一憂しながら画面をこすり、ポケモンGOのために散歩しているのは、元祖ポケモンもスマホゲームもやっていなかった人たち、つまりは、”おじさん”と”女子”です。

ポケモン世代ではない年齢層、あるいは、スマホゲームに触れたことのなかった女性たちこそが、現在のメインのユーザーなのです。

最初は、「流行っているから」「なんとなくポケモンが可愛いから」という理由で、配信開始よりも少し遅れてプレイを始めた多くのおじさんと女子は、元祖ポケモンに対してもスマホゲームに対しても先入観がありません。

それどころか「人生初めてのピカチュウ」だったり、「人生初めてのスマホゲーム体験」だったりもするのです。

純粋に「集めて楽しいコレクションゲーム」あるいは「歩く口実になる位置情報ゲーム」として現在でも日々プレイしています。

会話の糸口として最適

さらには、ポケモンGOの「世間話のネタになるパワー」は尋常ではありません。

おじさんと女子がたくさん集まる場所=職場では、ポケモンを口実に多くのコミュニケーションが生まれ、こんなポケモンを捕まえたとか、部長はあのポケモンに似ているだとか、これまでなかった会話が交わされています。

「ポケモン童貞」「スマホゲーム処女」

ある会社員Aさん(24歳・男性)は、幼いころ元祖ポケモンをやりこんでいました。

なのでご多分に漏れず、早々に飽きてしまったのですが、職場の上司はいままさに夢中になっているそうです。「毎朝課長が、『こんなのゲットしちゃったよ!』と見せてきて、かわいいんですよ」と語ります。

ちなみにAさんの彼女は同い年ながら、元祖ポケモンもスマホゲームもやっていなかったいわゆる「スマホゲーム処女」。そのため、こちらもすっかりはまって楽しくプレイし続けているそう。

結果として彼は、平日は上司のポケモン話を聞き、土日は彼女のポケモン話を聞く、けれど、本人はやっていない、というユニークな状況に陥っています。

新機能でユーザーが帰ってくる?

さて、こうした「飽きた人が続出」「でも飽きてない人も結構多い」という事態を見越していたのか、ポケモンGOはここへ来て新機能を次々と発表。

お気に入りのポケモンを選ぶことができる「相棒ポケモン機能」の実装、時計型のデバイスである「ポケモンGO Plus」の発売、と話題を作り続けています。となれば、細々とプレイを続けている元祖ポケモンユーザーたちも熱を取り戻してくるはず。

逆に言うと、ポケモン愛に溢れた元祖ポケモンユーザーだけでなく、本来ゲームをしないような層をうまく取り込んでおけたことが、ポケモンGOの最大の成功要因なわけです。

コミュニティ化するポケモンGO

注目は、ユーザー同士のコミュニケーション機能。

今後は、ユーザー同士でモンスターを交換するとか、近くにいるユーザーと交流できるとか、ゲーム内外でコミュニケーションできる機能が拡充する可能性もあります。

そうなれば、ポケモンGOがただのスマホゲームではなく、ゲームを媒介としたコミュニティ、人と人をつなげるSNS(LINEやFacebookのような)に似た性質をもつことに。

「あー、あの人ポケモンGOをやっていないから、連絡取れないなあ」なんていう時代もそう遠くないかもしれません。

未来の歴史の教科書に「当時、ポケモンGOが社会現象となった」と書かれることは確実です。

しかしそうではなく、「現在では一般的となっているこのコミュニケーションサービスは、当初、位置情報サービスを使ってモンスターを画面上で捕獲するゲームとしてスタートした」と書かれるレベルの事件に、私たちは直面しているかもしれない。と言ったら大げさでしょうか?

(五百田 達成:「察しない男 説明しない女」著者 作家・心理カウンセラー)

作家・心理カウンセラー

著書累計120万部:「超雑談力」「不機嫌な妻 無関心な夫」「察しない男 説明しない女」「不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち」「話し方で損する人 得する人」など。角川書店、博報堂を経て独立。コミュニケーション×心理を出発点に、「男女のコミュニケーション」「生まれ順性格分析」「伝え方とSNS」「恋愛・結婚・ジェンダー」などをテーマに執筆。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。

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