山形県の記録的大雨 台風3号が間接的に関わった可能性
きのう25日(木)からきょう26日(金)にかけては山形県や秋田県など東北の日本海側で記録的な大雨になり、山形県内では最上川という大河川の氾濫まで起こりました。被害に遭われた方には心よりお見舞い申し上げます。
今回、山形県の差首鍋(さすなべ)という観測地点では、これまでの記録を大幅に上回る400mm以上の雨が2日間で降りました。これは平年の7月1か月分を上回る量の雨がたった2日で降ったということになります。
今回、山形県でここまでの大雨になった要因は大きく2つあります。
1、台風由来の暖かく湿った空気か
図は上空約1500mの暖かく湿った空気の流れを表したもので、色がオレンジ色の部分にはそれだけ大量の水蒸気があるということを意味し、矢印は風を表します。
今、本州の南には太平洋高気圧があってその周囲では時計回りの風の流れができています。一方で大陸にある「湿った空気の塊」は台風3号です。高気圧からの時計回りの風が東北地方にまで流れ込んでいましたが、その風の経路にこの台風3号があったため台風の水蒸気の一部が流れ込んだ可能性があります。
これだけならば、西日本などでも大雨になってもおかしくありませんが、関東から西では散発的に雷雲が発達したものの、東北地方ほど長時間に渡って雨が降り続いたわけではありません。もう1つ別の要因があります。
2、東北に鋭く入り込んだ上空の強い寒気
きのうの雲の様子を見ると、日中は全国的に見れば晴れていたところが多い中で東北地方にだけ雲の塊がかかっていました。
これは上空の強い寒気が原因です。上空約5500mの気温を重ねると、ちょうど雲の範囲=東北地方にだけ鋭く寒気が流れ込んできていました。
地上付近の暖かく湿った空気と上空の寒気がちょうど山形県付近で重なり、地上と上空のアンバランスによって雨雲が発達しやすい環境になっていました。
しかも上空の寒気は動きが遅く、また太平洋高気圧もあまり動かないため暖かく湿った空気の流れ込みも続き、今回の記録的大雨になったと思われます。
週明けにかけても東北は雨
この2つの要素は既に東北地方から抜けていったため、きょう26日は雨は一旦小康状態となりました。
ただあす27日(土)以降は再び東北地方で雨が降るようになります。あす以降は西日本付近では太平洋高気圧が強まるのですが、それによって梅雨前線が“たすきがけ”をするように斜めに東北地方に停滞する見込みです。きのう程の大雨ではないものの、週明けにかけては東北北部を中心に雨の降る日が続く見込みです。
今回の一連の大雨では、秋田県など東北北部でも雨量が多くなった所がありますので、土砂災害や川の増水に警戒が必要です。
また山形県や宮城県にも、断続的に前線の雨雲はかかる見込みです。特に山形県内では地盤が緩んでいたり、川の堤防が傷んでいたりする可能性が高いので、普段ならば用心する程の雨でなかったとしても土砂災害などに十分ご注意ください。