MLBが人気野球映画『フィールド・オブ・ドリームス』の撮影跡地で来年8月に公式戦開催へ
【MLBが2020年に新たなプロモーション試合】
MLBは8日、公式リリースを発表し、2020年シーズンに実施するプロモーション試合の内容を明らかにした。早速MLB公式サイトでも報じている。
米国では現在も不朽の名作として人気の高い、ケビン・コスナー氏主演の野球映画『Field of Dreams』の撮影跡地で、ホワイトソックスとヤンキースが公式戦を行うことになった。
試合は8月13日に実施され、FOXテレビが全米に生中継するという。
この発表を受け、ヤンキース、ホワイトソックスともにSNS上に映画をモチーフにしたPR動画を公開している。
【興行収益約890億円の人気映画】
1989年公開の同作品は、30年を経た現在でもTV等で放送されるなど、米国民から親しまれている野球映画だ。
簡単にあらすじを説明すると、アイオワ州に住むトウモロコシ農家の主人公(ケビン・コスナー)がある日突然「If you build it, he will come.(あなたがそれをつくれば、彼はやって来る)」という天の声を聞いたことを機に、彼の人生は一変する。
そこから天の声の意味を解き明かしながら、声に導かれるままに自分の農場を壊して野球グラウンドをつくり、そこから伝説上の野球選手をはじめ様々な出会いを繰り返していくという展開で、WP・キンセラ氏著の小説『シューレス・ジョー』を映画化したものだ。
野球を題材にした映画ではあるが、家族愛に満ちあふれた内容だったこともあり、興行収益は8440万ドル(現在の換算レートで約890億円)に上るヒット作品となっている。
【撮影跡地は現在も人気観光スポット】
この映画を撮影するに当たり、アイオワ州ダイアーズビルという田舎街に実際に野球グラウンドを建設。映画撮影終了後もグラウンドと主人公が住んでいた家はそのまま保存されたため、映画がヒットした後は米国市民の間で人気観光スポットになっていた。
この施設は現在も『Field of Dreams Movie Site』として運営されており、訪問者は見学ツアーやグラウンドを借りて実際に野球を楽しむことができるようになっている。
実は筆者も在米中に同施設を訪問した経験があるのだが、野球場の周りは見渡すかぎりの畑で、施設に到着しグラウンドが見えた時は、まるで映画の世界に引き込まれてしまったような感覚に陥るほど、感動的な瞬間を味わうことができた。
【公式戦のためにMLBが新球場を建設】
MLBの発表によれば、この映画で使用されたグラウンドはMLBの公式戦を実施するには狭すぎ、観客席も十分でないため、現在のグラウンドの左翼後方に新たに8000席を有するボールパークを建設するという(添付のホワイトソックスのツイートを参照してほしい)。
このボールパークはホワイトソックスの旧本拠地球場だった『コミスキー・パーク』をモチーフにして建設される。また観戦者がボールパークに入場する際、映画の有名なシーンのようにトウモロコシ畑をかき分けるという演出も施されるという。
映画では1919年に野球界から永久追放処分を受けた“シューレス”・ジョー・ジャクソン選手をはじめとするホワイトソックス4選手がキーパーソンとして登場してくるため、当時の彼らがプレーしていた球場がモチーフとして採用されたようだ。
【プロモーション試合に積極的なMLB】
MLBはここ数年、従来の球場以外で公式戦を行うプロモーション試合にかなり積極的に乗り出している。
世界中の少年が集結するリトルリーグ・ワールドシリーズ開催地で、リトルリーグの聖地として知られるペンシルバニア州ウィリアムスポートでは、毎年『リトルリーグ・クラシック』として公式戦が実施されている。
また今年6月にはカレッジ・ワールドシリーズの開催地であるネブラスカ州オマハで初めてロイヤルズ対タイガースの公式戦が実施されている。
今回のプロモーション試合は野球ファンのみならず、今も『Field of Dreams』を愛し続ける映画ファンからも注目を集めることになりそうだ。