カワサキ「ZX-25R」の走りを大胆予想!現代に蘇ったマルチクォーターの衝撃とは
30年ぶりに復活した直4スーパースポーツ
本日から一般公開が始まる「東京モーターショー2019」。今週はその話題で持ち切りだが、今回個人的にも注目している一台はカワサキが参考出品した「ZX-25R」だ。
トピックスでも詳しく紹介しているが、250ccクラスの4気筒スーパースポーツとしては1989年登場のZXR250以来30年ぶりの復活で、もちろん現行ラインナップの中でも国内外の各メーカーを含めて唯一の存在となる。
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並列4気筒のレイアウトはほとんどの大排気量スーパーバイクが採用していることからも分かるとおり、最もパワフルで高性能を誇るエンジンの代表格。今回の「ZX-25R」も単に4気筒が復活したというだけでなく、その背景にある“性能の凄さ”を予感させるからこそ、期待値のボルテージが跳ね上がるわけだ。それはネーミングにも表れている。見た目こそ現行「Ninja250」に似ているが、それとは別にスーパーバイクの血統を表す「ZX」のファミリーネームが与えられていることからも、走りの性能を最優先していることは明らかだ。
一気に勢力図を塗りかえる可能性も
80年代後半に2ストレプリカブームにやや遅れてやってきた4ストレプリカブームの最後を飾ったZXR250はラムエア過給によるカワサキらしい高回転域の伸び切り感が魅力で、1万9000rpmの超高回転からピークパワー45psを叩き出した。何回も言ってしまうが30年も昔にだ。そして、乾燥重量140kg台という軽さ。現代の250ccスポーツ最速と言われるCBR250RRが38ps/12500rpmで車重165kg(乾燥ではない)ということを考えると、その走りがどれだけ凄かったか想像できよう。
もちろん時代が違うので単純比較はできないが、高性能マルチクォーター(4気筒250ccはかつてそう呼ばれた)の破壊力は計り知れず、一夜にして勢力図を塗りかえるゲームチェンジャーになる可能性を秘めているのだ。その意味でも今回のショーでも最大の注目モデルのひとつと言っていいだろう。
クラス最強、ライバルはNinja400か
とうことで、大胆にも「ZX-25R」の走りを予想してみよう。
参考になるのが現行のNinja250とNinja400だ。2018年にオールニューで国内投入された両モデルはプラットフォームを共有化した兄弟車である。異なるのは排気量とタイヤ(「250」はリヤが140バイアス仕様に対し「400」は150ラジアル仕様)ぐらいだが、走りは大きく差が開いたことを記憶している。ちなみにスペックは「250」が37ps/12500rpmで車重166kgに対し、「400」は48ps/10000rpmで車重167kg。メディア向け試乗会が行われたオートポリスでは未だ輸出仕様でのテスト走行だったが、パワーが若干抑えられた「400」(45ps仕様)でもトップスピードで「250」を15km/hほど上回っていた。
そして、新型「ZX-25R」はピークパワーで少なくとも「400」と肩を並べる45ps程度は出してくると思われ、カワサキ十八番のラムエア過給をプラスすればピーク域ではさらなる伸びも期待できそうだ。加速や旋回性能にも関わる車重に関しても、一般的には4気筒は2気筒に比べて重くなりがちだが、展示車で見る限りスリムな車体やコンパクトなマフラー形状などからもNinja250/400と同程度まで絞ってくるはず。
コーナリングでさらに突き放す
タイヤが「400」と同じリヤ150ラジアル仕様であることもポイント。増加したパワーを確実に受け止めてくれるラジアルの剛性感とグリップ感は、高次元の走りになるほど大きなアドバンテージになる。さらにSFF-BPタイプの倒立フォークと4Pラジアルモノブロックキャリパー、アルミ製ガルアーム&ホリゾンタルバックリンクを備えるリヤまわりなど足まわりのグレードはワンランク上とくれば、コーナリング性能でもおそらくNinja250/400を突き放すだろう。
「ZX」が意味するもの、それは最強最速だ。21世紀に蘇った究極の250スーパースポーツがどんな走りを見せてくれるのか、期待せずにはいられない。
追記
「ZX-25R」発売時期について本日10月25日、カワサキから2020年秋頃に国内投入予定との正式発表がありました。