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羽生九段と丸山九段が竜王挑戦権をかけ激突――第33期竜王戦挑戦者決定三番勝負展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
タイトル獲得通算100期の期待がかかる羽生善治九段(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 豊島将之竜王(30)への挑戦者を決める第33期竜王戦(読売新聞社主催)は8月17日、東京都渋谷区「将棋会館」で羽生善治九段(49)と丸山忠久九段の挑戦者決定三番勝負第1局が行われる。

両者の調子はほぼ五分

<羽生九段の最近10局>(未放映のテレビ対局を除く)

4月3日 竜王戦1組

対稲葉陽八段 ○

4月8日 王位戦リーグ白組

対稲葉八段 ○

5月7日 竜王戦1組決勝

対佐藤和俊七段 ○

5月21日 王座戦本戦

対飯島栄治七段 ●

6月8日 順位戦A級

対菅井竜也八段 ○

6月13日 王位戦リーグ白組

対菅井八段 ○

6月28日 将棋日本シリーズ1回戦

対久保利明九段 ●

7月13日 棋王戦本戦

対屋敷伸之九段 ●

7月28日 順位戦A級

対佐藤天彦九段 ●

8月13日 竜王戦決勝トーナメント準決勝

対梶浦宏孝六段 ○

<丸山九段の最近10局>(対戦相手の肩書は対局当時)

5月19日 王座戦本戦

対佐々木慎七段 ○

6月5日 竜王戦2組

対糸谷哲郎八段 ○

6月11日 順位戦B級1組

対千田翔太七段 ●

6月19日 竜王戦2組決勝

対佐々木勇気七段 ●

6月30日 王座戦本戦

対豊島将之竜王・名人 ●

7月9日 順位戦B級1組

対山崎隆之八段 ●

7月24日 竜王戦決勝トーナメント

対藤井聡太棋聖 ○(千日手指し直し)

7月31日 竜王戦決勝トーナメント

対佐藤和俊七段 ○

8月7日 順位戦B級1組

対松尾歩八段 ●

8月12日 竜王戦決勝トーナメント準決勝

対久保利明九段 ○

 両者とも直近10局の成績は可もなく不可もなしといったところで、竜王戦に勝ち星が集まったのも似ている。過密スケジュールにはなっていないため、十分な調整が可能で好局が期待できそうだ。

 勝ち星の中では丸山九段が、飛ぶ鳥を落とす勢いの藤井棋聖を千日手指し直しの末破っており、準決勝の久保九段戦でも大熱戦を制し上り調子と見る。

角換わり対決の可能性大

 これまでの両者の対戦成績は羽生九段の38勝19敗とダブルスコア。ただ最近は対戦が少なく前回は2019年のNHK杯、その前は2015年の朝日杯(いずれも羽生勝ち)と間隔が空き、データとして重く見ることはしづらい。

 戦型は羽生九段先手なら丸山九段は得意の一手損角換わりに誘導するだろう。丸山九段先手でも角換わり志向は間違いなく、いずれにしても今回の三番勝負は「角換わりシリーズ」になる可能性が高い。

 調子では丸山九段にプラス材料があるものの過去の成績を加味し、総合的には羽生九段やや有利と見る。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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