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モハメド・アリに憧れる22戦全勝14KOのWBAライト級2位

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 WBA2位、IBF8位、WBC12位、WBO14位にランクされるライト級のミッシェル・リベラ(23)が10回戦に出場し、判定勝ちを収めた。これでリベラはデビュー以来、無傷の22連勝。そのうち14度がKO勝ちだ。

 ドミニカ人であるリベラがアメリカに進出したのは2019年6月21日。現在は、フロリダ州マイアミに居を構える。

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 あの"ザ・グレイティスト"モハメド・アリに憧れ、髪型、トランクス、シューズを模倣しているリベラが選んだマイアミは、1964年2月25日にアリと改名する前のカシアス・クレイがソニー・リストンを下して世界ヘビー級タイトルを奪取した地だ。

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 リベラにアリのようなフットワークや鋭いジャブ、目を見張るスピードは無い。しかし、終始前に出るボクシングで対戦相手のホセ・マティアス・ロメロ(25)を圧倒した。

 アルゼンチン人ブルファイターであるロメロも怯まず、接近戦での打ち合いを挑み、手を出し続けたが、的確さでリベラが大きく上回った。

 3人のジャッジ全員が、100-90でドミニカ人の勝利を唱えた。

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 試合後、リベラは語った。

 「ロメロが俺との試合にサインしたのは、カネの為だろうな。こちらは当初、ヤツと戦うつもりは無かった。俺は対戦相手に肉を分け与える人間じゃない。ボクシング界で称えられる存在を目指している。

 俺は今夜、自分が出来ることの全てをリングで出した。でも、パフォーマンスは良くなかった。もっとやれた筈だ。今、WBAで2位だから、そろそろ世界タイトルに挑戦したい」

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
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 24回(8KO)の勝利を重ね、プロキャリアで2度目の敗北を喫したロメロもコメントした。

 「自分の距離で戦えなかったですね……。彼のジャブを喰ってしまい、捕らえられなかった。カウンターを狙っていたのですが、リベラは速かったし、巧くリングを使いました」

 今回、プロモーターが両者にトレーニング場として用意したのは、同一のジムであった。両ファイターはきっちりと時間を分けたものの、ライバルの息遣いが聞こえるかのような環境下で調整した。

 アリが歴史を刻んだ場所でステップアップしたのは、彼の名をトランクスに入れた若者だった。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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