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最新の梅雨入り見解、関東甲信などは平年より遅くなる?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
大雨(写真:イメージマート)

梅雨入りは6月10日頃?

アルファベットは信頼度、Aが最も高く、Eが最も低い、%は降水確率(ウェザーマップ)
アルファベットは信頼度、Aが最も高く、Eが最も低い、%は降水確率(ウェザーマップ)

今週末は梅雨を忘れるような晴天で、しかも暑くなりそうです。

特にあす29日(日)は、東日本や西日本で軒並み30度以上の真夏日となり、東京都心は32度、熊谷や前橋は35度が予想されるなど、5月としては記録的な暑さとなるかもしれません。からっとした暑さではありますが、熱中症に要注意です。

そして早い早いと言われている今年の本州付近の梅雨入りはいつ頃になるのでしょうか?最新の数値予報をもとにみると、ちょっと見通しが変わってきた感じです。

上図16日間予報によると、鹿児島はあす29日(日)昼頃から雨が降り出し、あさって30日(月)にかけて大雨のおそれがあります。この雨をきっかけに九州南部では梅雨入りの発表があるかもしれません。九州南部の梅雨入りの平年日は5月30日頃ですから、もし梅雨入りが発表されればほぼ平年並みとなります。

その他の各地は、小さな傘マークがあっても一時的で、比較的晴れ間の広がる日が多く、本格的な梅雨空(梅雨入り)となるのは、早くても再来週の後半、6月10日(金)頃にずれ込む可能性が高い予報となっています。

もしそうなると、九州北部から関東甲信にかけての梅雨入りの平年日は、6月4日から7日頃ですから、むしろ平年よりも遅い梅雨入りということになります。今の時期は上空の気圧配置が日替わりすることもあるため、予想が難しいところではありますが、これまで言われてきた平年より早い梅雨入りとは少し様子が変わってきたようです。

太平洋高気圧が衰退するため

雨雲や太平洋高気圧の予想(ウェザーマップ)
雨雲や太平洋高気圧の予想(ウェザーマップ)

ではなぜなかなか本格的な梅雨空がやってこないのでしょうか?それは梅雨前線を押し上げる南の太平洋高気圧があまり強くはなく、しかも来週の後半以降は、しばらく衰退するような予想となっているためです。

一般に梅雨前線は太平洋高気圧のすぐ北側に形成されることが多く、太平洋高気圧が衰退すれば必然的に梅雨前線は南の海上へ下がり、本州付近へ影響する頻度が小さくなります。

それでも上空の寒気や湿った空気の影響などで雨が降ることはありますが、降っても一時的で長続きはしないため、本格的な梅雨空となるようなことはあまりありません。ただ梅雨入りの平年日あたりまでくると、そのような状況でも梅雨入りが発表されることがよくあるため、最終的には気象庁の判断ということになります。

九州は大雨に警戒

暖湿気の予想(ウェザーマップ)
暖湿気の予想(ウェザーマップ)

上図は雨の元となる暖湿気の予想です。

あす29日(日)からあさって30日(月)にかけて、東シナ海から九州付近には345K以上の暖湿気が帯状に流れ込む予想です。この345K以上の暖湿気というのは、梅雨の最盛期に豪雨をもたらすような危険な暖湿気で、雨雲が線状に発達すれば、同じような場所で猛烈な雨が降り続くような危険性があります。

200ミリから300ミリ以上の大雨も

48時間の予想雨量(ウェザーマップ)
48時間の予想雨量(ウェザーマップ)

コンピュータが予想している48時間降水量をみると、あす29日(日)からあさって30日(月)にかけて、鹿児島県を中心に、九州南部では200ミリ以上の大雨が予想されており、雨雲がより発達した場合には、300ミリを軽く超えるような豪雨も計算されています。(最大予想降水量)

九州南部は梅雨入りする、しないにかかわらず、週明けにかけて、危険度が大きく上昇するような大雨に見舞われるおそれがあり、今後の最新情報に十分な注意が必要です。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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